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Microsoft Agent Framework RC完全解説と始め方

Microsoft Agent Framework RC完全解説と始め方

この記事の結論

Semantic KernelとAutoGenを統合したMicrosoft Agent FrameworkがRC到達。.NET/Python両対応、MCP対応、マルチエージェント対応の新フレームワークを5分で試す方法を解説。

結論: MicrosoftはSemantic KernelとAutoGenを統合した新フレームワーク「Microsoft Agent Framework」をRC(Release Candidate)として公開し、.NETとPythonの両言語でエンタープライズ向けAIエージェント開発の標準化を狙っています。

▶ 関連記事:AIエージェントとは?基礎から仕組み・活用事例まで解説

この記事の要点:

  • 要点1: Microsoft Agent FrameworkはSemantic KernelとAutoGenの後継として、APIが安定しv1.0に向けた機能が全て完成
  • 要点2: .NETとPython両対応で、数行のコードからエージェント構築が可能。Azure OpenAI、OpenAI、Claude、Ollama等マルチプロバイダー対応
  • 要点3: MCP(Model Context Protocol)、A2A(Agent-to-Agent)、AG-UIなどの業界標準プロトコルをネイティブサポート

対象読者: AIエージェント構築を検討中の.NET/Pythonエンジニア・PM

▶ 関連記事:A2Aプロトコルとは?マルチエージェント連携の標準規格を解説

読了後にできること: Microsoft Agent Frameworkをインストールし、最初のAIエージェントを動かすところまで試せます

「AIエージェントを本番に入れたいけど、Semantic Kernel?AutoGen?どっちを使えばいいの?」

この問いに対するMicrosoftの回答が、2026年2月19日に発表されました。答えは「どちらでもなく、新しい統合フレームワーク」。Microsoft Agent Frameworkは、Semantic KernelとAutoGenの成果を1つのSDKに統合し、.NETとPython両方で一貫したAPIを提供するオープンソースフレームワークです。

RC(Release Candidate)ステータスに到達したことで、API面は安定し、v1.0 GAに向けた全機能が実装済み。エンタープライズでの本番評価を開始できる段階に入りました。この記事では、何が変わったのか、開発者は今すぐ何をすべきかを整理します。

何が起きたのか — ファクトの全体像

日付 出来事 影響
2025年10月 Microsoft Agent Framework初発表 Semantic Kernel/AutoGen統合の方針が明確に
2026年2月9日 公式ドキュメント公開 learn.microsoft.com にAgent Framework専用セクション追加
2026年2月19日 RC(Release Candidate)到達 APIが安定、v1.0機能が全て完成。本番評価が可能に
2026年2月〜 Semantic Kernel/AutoGenからの移行ガイド公開 既存プロジェクトの移行パスが明確化

なぜこれが重要なのか — 3つの技術的インパクト

1. Semantic KernelとAutoGenの「二択問題」が解消

これまでMicrosoftのAIエージェント開発には、単一エージェント向けのSemantic Kernelと、マルチエージェント向けのAutoGenという2つの選択肢がありました。開発者はプロジェクトの規模や要件に応じてどちらを使うか判断する必要がありましたが、Agent Frameworkはこれらを1つのSDKに統合しています。

単一エージェントの作成からマルチエージェントワークフローのオーケストレーションまで、同じAPIで扱えるようになった点は大きな変化です。

2. マルチプロバイダー対応で「ベンダーロックイン」を回避

Agent Frameworkは以下のモデルプロバイダーをサポートしています:

プロバイダー サポート状況
Microsoft Foundry / Azure OpenAI ✅ ネイティブ対応
OpenAI ✅ ネイティブ対応
Anthropic Claude ✅ 対応
AWS Bedrock ✅ 対応
Ollama(ローカルLLM) ✅ 対応
GitHub Copilot ✅ 対応

Azureに閉じない設計であるため、マルチクラウド環境やオンプレミスLLMとの組み合わせも容易です。

3. 業界標準プロトコルのネイティブ対応

MCP(Model Context Protocol)、A2A(Agent-to-Agent)、AG-UIといった業界標準プロトコルをネイティブサポートしている点も注目です。特にMCPはAnthropicが提唱し急速に普及しているツール統合プロトコルで、これをフレームワークレベルでサポートすることで、外部ツール連携の実装コストが大幅に下がります。

実際のコード — 5分で試せるエージェント構築

Agent Frameworkの最大の特徴は、数行でエージェントが動く点です。以下はPythonでの最小構成例です:

# 動作環境: Python 3.10+
# インストール: pip install agent-framework --pre
# 注意: 本番環境で使用する前に、必ずテスト環境で動作確認してください。

import asyncio
from agent_framework.azure import AzureOpenAIResponsesClient
from azure.identity import AzureCliCredential

async def main():
    agent = AzureOpenAIResponsesClient(
        credential=AzureCliCredential(),
    ).as_agent(
        name="AssistantBot",
        instructions="あなたは日本語で丁寧に回答するアシスタントです。",
    )

    result = await agent.run("AIエージェントとは何ですか?")
    print(result)

if __name__ == "__main__":
    asyncio.run(main())

ポイント:

  • AzureCliCredential()でAzure CLIの認証情報を自動取得。APIキーのハードコードが不要
  • as_agent()で名前と指示文を設定するだけでエージェントが完成
  • Azure OpenAI以外のプロバイダーを使う場合は、対応するClientクラスに差し替え可能

マルチエージェントの順次実行(Sequential Workflow)も以下のように書けます:

# インストール: pip install agent-framework-orchestrations --pre

import asyncio
from agent_framework.azure import AzureOpenAIChatClient
from agent_framework.orchestrations import SequentialBuilder
from azure.identity import AzureCliCredential

async def main():
    client = AzureOpenAIChatClient(credential=AzureCliCredential())

    writer = client.as_agent(
        instructions="あなたはコピーライターです。簡潔なキャッチコピーを1つ提案してください。"
    )
    reviewer = client.as_agent(
        instructions="あなたはレビュアーです。提案されたキャッチコピーにフィードバックを返してください。"
    )

    workflow = SequentialBuilder().add(writer).add(reviewer).build()
    result = await workflow.run("AIエージェント開発ツールのキャッチコピーを作って")
    print(result)

if __name__ == "__main__":
    asyncio.run(main())

競合フレームワークとの位置づけ

フレームワーク 提供元 言語 マルチエージェント MCP対応 特徴
Microsoft Agent Framework Microsoft .NET / Python ✅ グラフベースワークフロー Semantic Kernel + AutoGen統合、Azure深度連携
OpenAI Agents SDK OpenAI Python ✅ ハンドオフ OpenAIモデルに最適化、シンプルAPI
LangGraph LangChain Python / JS ✅ グラフベース 柔軟なステート管理、LangSmith連携
Google ADK Google Python Geminiモデルに最適化、Vertex AI連携
Dify Dify.AI ノーコード △ 限定的 ノーコードUI、RAG内蔵

Microsoft Agent Frameworkの最大の差別化ポイントは.NETネイティブ対応です。エンタープライズのバックエンドにC#/.NETを採用している企業にとって、Pythonへの移行なしにAIエージェントを導入できるのは大きなメリットです。

注意点 — RC段階であることを忘れずに

正直にお伝えすると、まだGA(General Availability)前のRC段階です。以下の点に注意が必要です:

  • NuGet/PyPIではまだプレリリースフラグが付いている(--preが必要)
  • GAまでにマイナーな破壊的変更が入る可能性がある
  • Semantic KernelやAutoGenからの移行ガイドは公開されているが、大規模プロジェクトの移行には時間がかかる
  • 日本語ドキュメントはまだ整備中

とはいえ、APIが安定しているRC段階は「本番評価を始める」タイミングとしては最適です。GAまで待つよりも、今のうちにPoC(概念実証)を回しておくことをおすすめします。

AIエージェント開発者が今すぐとるべきアクション

  1. 今日やること: pip install agent-framework --pre でインストールし、上記の最小構成コードを動かしてみる
  2. 今週中: Semantic KernelやAutoGenの既存プロジェクトがある場合、公式移行ガイドを読んで移行コストを見積もる
  3. 今月中: 自社のユースケースに合わせたPoCを作成し、LangGraphやOpenAI Agents SDKとの比較検証を行う

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参考・出典


著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー10万人超。
100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書累計3万部突破。
SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。

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