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Mythos vs Gemini 3.1 Pro — 今選ぶフロンティアモデル

Mythos vs Gemini 3.1 Pro — 今選ぶフロンティアモデル

この記事の結論

Anthropic MythosはSWE-bench 93.9%、Gemini 3.1 ProはGPQA Diamond 94.3%。アクセス制限・コスト・ユースケース別に今日使えるフロンティアモデルの選択基準を比較。

2026年4月、AIフロンティアの地図が一気に書き換わった。AnthropicはClaude Mythosのプレビューを発表し、Googleは2月にGemini 3.1 Proをリリース済みだった。どちらも「これまでのAIとは別物だ」という主張を掲げている。

問題は、開発者やPMが今日の意思決定に使えるのはどちらか、ということだ。スペックシートを読むだけでは判断できない。アクセス制限、コスト、ユースケースの適合性という現実的な軸で比較してみよう。

スペック比較

項目 Anthropic Mythos Google Gemini 3.1 Pro
リリース日 2026年4月7日(プレビュー) 2026年2月19日
SWE-bench Verified 93.9% 80.6%
GPQA Diamond 非公開 94.3%
USAMO 2026 97.6% 74.4%
Cybench(サイバーセキュリティ) 100%(史上初) 非公開
ベンチマーク総合 18項目中17位1 1項目でMythos同等(MMLU)
APIアクセス Project Glasswingのみ(非公開) 一般公開(Free + Pro $20/月)
入力コスト(推定) $10〜15/Mトークン(推定) $2/Mトークン
出力コスト(推定) $50〜75/Mトークン(推定) $8/Mトークン
コンテキスト長 非公開 200Kトークン

料金情報の最終確認: 2026-04-14(Mythosのコストは外部推定値。確定情報ではない)

性能で比較する

Mythosの93.9% SWE-bench Verifiedは、ソフトウェアエンジニアリングのベンチマークで現時点のSOTA(最高性能)だ。Gemini 3.1 Proの80.6%と比べると13.3ポイント差がある。コードの自動生成・デバッグ・リファクタリングにおいて、この差は実務上も感じられるレベルと見ていい。

一方、科学的推論(GPQA Diamond)ではGemini 3.1 Proが94.3%という驚異的なスコアを出している。これはMythosが非公開としている指標のひとつで、学術的な問題解決においてGemini 3.1 Proが強い可能性がある。

数学的推論(USAMO 2026)ではMythosが97.6%対Gemini 3.1 Proの74.4%と23ポイント以上の差がある。金融モデリング、アルゴリズム設計、複雑な条件分岐を伴うシステム設計には、Mythosクラスの推論能力が有利に働くシナリオが増えそうだ。

アクセスで比較する

ここが最大の分岐点だ。正直に言ってしまうと、Mythosは現在ほぼ誰も使えない

Anthropicは「Project Glasswing」という名称で、Amazon・Apple・Google・Microsoft・Nvidiaなど12社のテクノロジー・金融企業にMythosへの限定アクセスを提供している。使途は「防衛的なサイバーセキュリティ」に限定されており、Anthropicは$100MのUsage Creditを提供している。

なぜこのような制限を設けているのか。内部テストでMythosがFirefoxの既知脆弱性に対して181回の成功率でシェルエクスプロイトを生成したことが判明したからだ(Claude Opus 4.6は同テストで数百回中2回)。「世界で最も危険なAIモデル」と形容するレポートもあるほどで、Anthropicはこの能力を一般公開することが現時点ではリスクが高すぎると判断した。

一方Gemini 3.1 Proは今日からAPIで使える。Vertex AI、Google AI Studio、Gemini Advancedから標準的な開発フローで導入可能だ。

コストで比較する

Gemini 3.1 Proのコストは$2/M入力・$8/M出力トークン。外部リークに基づくMythosの推定コストは$10〜15/M入力・$50〜75/M出力とされており、仮にこれが正確であればGeminiの6〜10倍のコストになる計算だ。

10万トークンの入出力を毎日処理するシステムを想定した場合:

  • Gemini 3.1 Pro: 月額約$300(入力$60 + 出力$240)
  • Mythos(推定): 月額約$1,950〜$2,700(入力$450〜$675 + 出力$1,500〜$2,250)

コスト差は6〜9倍。スタートアップや中規模企業にとって、この差は予算の構造を変えるレベルだ。

筆者のおすすめ

今日から実際に開発に使える現実的な選択として:

  • コード生成・デバッグが主な用途でトップクラスの精度が必要 → Claude Opus 4.6(Mythos非公開の代替として現実的)
  • 科学的推論・長文コンテキスト・マルチモーダルが必要 → Gemini 3.1 Pro(GPQA Diamond 94.3%、200Kコンテキスト)
  • コスト効率とのバランスで高性能が欲しい → Gemini 3.1 Pro(Opus 4.6より約60%安価)
  • 高ボリューム + 低レイテンシが最優先 → Gemini 3.1 Flash-Lite($0.25/M入力)
  • 防衛的サイバーセキュリティ用途(限定) → Project Glasswingへの参加申請を検討

Mythosが一般公開された場合、コーディングエージェント・自律的なバグ修正・複雑なマルチエージェントパイプラインにおいてパラダイムシフトをもたらすポテンシャルがある。ただし「もしも」の話だ。今日の実装判断はGemini 3.1 ProとClaude Opus 4.6の範囲でするしかない。

賢い選択は、タスクの複雑さとコスト感応度でモデルをルーティングする設計にしておくことだ。フロンティアモデルの能力差は急速に縮まっており、6ヶ月後には別のモデルが最高位に来ている可能性も十分ある。

フロンティアモデルの選定と活用については、AIエージェント構築完全ガイドで実装パターンを詳しく解説している。各モデルの具体的な料金比較はAIエージェントツール比較ガイドも参考になる。

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出典


著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。早稲田大学法学部在学中に生成AIの可能性に魅了され、X(旧Twitter)で活用法を発信(@SuguruKun_ai、フォロワー10万人超)。100社以上の企業向けAI研修・導入支援を展開。著書累計3万部突破。SoftBank IT連載7回執筆(NewsPicks最大1,125ピックス)。
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※ 本記事の情報は2026年4月時点のものです。サービスの料金・仕様は変更される可能性があります。最新情報は各サービスの公式サイトをご確認ください。

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