OpenClawのセットアップで判断の分かれ目は「Gatewayをどこに常駐させ、どこまで隔離するか」に尽きます。ホストから切り離して安全に試すならDocker、手元のPCで常用するならWindowsのネイティブ経路かWSL2、24時間動く自宅・オフィスの常駐サーバーにするならMac mini+launchdが定石です。2026年9月現在、公式インストーラはmacOS・Linux・Windowsの3系統をカバーし、ランタイムはNode 26が推奨(Node 24.16以上または26.1以上でも可)とされています。
OpenClawは、自分のマシン上で動かしてDiscord・Slack・WhatsAppなど普段使いのチャネルからAIアシスタントに話しかけられるオープンソースプロジェクトです。ホスティング版や有料プランは存在せず、状態・記憶・認証情報はすべて自分のハードウェアに残ります。だからこそ「どのマシンで動かすか」がそのまま使い勝手とセキュリティを決めます。OpenClawそのものの概要や何ができるかはOpenClawとは|できること・セットアップ難易度・注意点で整理しているので、ここでは環境別の導入手順だけを公式ドキュメントとGitHub READMEで確認できた範囲に絞って追いかけます。
Docker・Windows・Mac miniの選び分け早見表

最初に3経路の性格を押さえておきましょう。どれを選んでも中身は同じOpenClawで、違うのは「常駐のさせ方」と「隔離レベル」だけです。
| 環境 | 向いているケース | 前提条件 | 常駐のさせ方 | 隔離レベル |
|---|---|---|---|---|
| Docker(Compose) | ホストを汚さず検証したい、VPSや社内サーバーで運用したい | Docker Desktop または Docker Engine+Compose v2。ローカルでイメージをビルドする場合はRAM 6GB以上(事前構築イメージなら不要) | docker compose up -d |
高い(コンテナ内で完結) |
| Windows | 手元のWindows PCで常用したい | ネイティブアプリはWindows 10 20H2以降/11。WSL2経路はWSL2とUbuntu | タスクスケジューラ(ネイティブ)またはsystemd+linger(WSL2) | 中(WSL2ならLinux側に分離) |
| Mac mini(macOS) | 24時間動く常駐ホストにしたい | macOSアプリはmacOS 15.0(Sequoia)以降。CLIのNodeバイナリはmacOS 13.5以上 | launchd(LaunchAgent) | 低〜中(既定ではホスト上でツール実行。サンドボックス設定で強化) |
公式FAQによれば、Gatewayの動作にはRAM 4GBで十分とされており、重いGPUマシンは必要ありません。よくある構成として「常時稼働のホスト+手元のノートPCをノードとして接続する」形が挙げられており、Mac miniはこの常時稼働ホストの選択肢として選ばれやすい、という位置づけです。
先に共通の前提を固める、Nodeとインストーラの仕組み
3経路とも土台は同じで、Node.js上で動くGatewayプロセスをどう起動し続けるかという話に帰着します。公式インストーラはOSを検出し、必要ならNode本体の導入まで自動で済ませてくれます。
# macOS / Linux / WSL2
curl -fsSL https://openclaw.ai/install.sh | bash
# Windows PowerShell
iwr -useb https://openclaw.ai/install.ps1 | iex
すでにNodeを自分で管理している場合は、npmパッケージを直接入れる方法も公式に用意されています。ライフサイクルスクリプトの許可指定が必要な点に注意してください。
# Node 24.16+ または 26.1+ が必要
npm install -g openclaw@latest --allow-scripts=openclaw
# ※ --allow-scripts=openclaw は npm 12 / npm 11.16以降向け。npm 11.15以前では外す
# npm等で直接入れた場合は手動でオンボーディングを起動
openclaw onboard --install-daemon
オンボーディングウィザードがモデルへの接続確認・ワークスペース作成・Gateway設定までを担当します。完了後はopenclaw gateway statusで状態を確認し、openclaw dashboardでControl UIを開いてメッセージを送れば疎通確認は完了です。ここから先が環境ごとの分岐になります。
Docker+Composeで隔離して動かす

ホスト環境を汚したくない検証フェーズや、VPS・社内サーバーでの運用ではDocker経路が扱いやすい選択です。リポジトリにセットアップスクリプトが同梱されており、APIキーの入力、Gatewayトークンの生成と.envへの書き込み、Composeによる起動までを一気通貫でこなします。
git clone https://github.com/openclaw/openclaw.git
cd openclaw
# 事前構築イメージを使う場合(ローカルビルド不要でRAM要件も軽い)
export OPENCLAW_IMAGE="ghcr.io/openclaw/openclaw:latest"
./scripts/docker/setup.sh
起動後の操作はComposeコマンドに集約されます。
# Gateway起動
docker compose up -d openclaw-gateway
# ログ追跡
docker compose logs -f openclaw-gateway
# CLIコマンドの実行(例: ダッシュボードURL取得)
docker compose run --rm openclaw-cli dashboard --no-open
挙動を変える主な環境変数は次のとおりです。
| 環境変数 | 役割 |
|---|---|
OPENCLAW_IMAGE |
ローカルビルドの代わりに事前構築イメージを使う |
OPENCLAW_GATEWAY_PORT |
ホストに公開するポート(デフォルト18789) |
OPENCLAW_HOME_VOLUME |
/home/nodeを名前付きボリュームで永続化 |
OPENCLAW_SANDBOX |
サンドボックスのブートストラップを有効化 |
OPENCLAW_INSTALL_BROWSER |
イメージビルド時にChromiumを同梱 |
Dockerならではの注意点が1つあります。コンテナの中から見た127.0.0.1はホストではなくコンテナ自身を指すため、ホスト側で動かしているOllamaやLM Studioに接続するときはhost.docker.internalを使います。Ollamaならhttp://host.docker.internal:11434、LM Studioならhttp://host.docker.internal:1234です。ローカルLLM側の準備はOllamaの使い方 2026|ローカルLLMでAIエージェントが参考になります。
CI/CDやサーバー初期化で対話なしに構成したい場合は、ヘッドレスのオンボーディングも公式に用意されています。認証情報は.envにOPENAI_API_KEYとOPENCLAW_GATEWAY_TOKENとして渡します。
docker compose run -T --rm --no-deps --entrypoint node openclaw-gateway \
dist/index.js onboard --non-interactive --accept-risk --skip-health \
--mode local --auth-choice openai-api-key --gateway-auth token \
--gateway-token-ref-env OPENCLAW_GATEWAY_TOKEN --skip-channels
docker compose up -d openclaw-gateway
Windowsはネイティブが正式ルート、WSL2は互換性重視の選択肢
「OpenClawはWindowsだとWSL必須なのでは」と思われがちですが、2026年9月時点の公式ドキュメントではネイティブ対応が明記されています。ルートは大きく3つです。

1. Windowsアプリ(推奨)
公式リリースページからOpenClawCompanion-Setup-x64.exe(ARM64版はarm64.exe)をダウンロードして実行するだけで、管理者権限は不要です。Windows 10 20H2以降とWindows 11で動作するWinUIアプリで、初回起動時に「Set up locally」を選ぶと、アプリ専用のOpenClawGatewayというWSLディストリビューションが自動プロビジョニングされます。既存のUbuntu環境には手を加えないため、すでにWSLで開発している人でも安心です。
2. PowerShellでネイティブCLI
アプリを使わずCLIだけで完結させることもできます。
iwr -useb https://openclaw.ai/install.ps1 | iex
# 検証
openclaw --version
openclaw doctor
openclaw gateway status --json
常駐はWindowsのタスクスケジューラ(Scheduled Tasks)で管理され、タスク作成が拒否された環境ではユーザーごとのスタートアップフォルダ経由の起動にフォールバックします。会社支給PCでグループポリシーが厳しい場合でも起動経路が残る設計です。
3. WSL2上のGateway(Linux互換性を最優先する場合)
公式ドキュメントで「最もLinux互換性の高い実行環境」と位置づけられているのがWSL2経路です。Linux向けスキルやツール群をそのまま使いたい場合はこちらを選びます。
# PowerShell(管理者)
wsl --install -d Ubuntu-24.04
# WSL内: systemdを有効化して再起動後にインストール
sudo tee /etc/wsl.conf >/dev/null <<'EOF'
[boot]
systemd=true
EOF
curl -fsSL https://openclaw.ai/install.sh | bash
WSL2で注意すべきは「Windowsにログインするまで何も起動しない」問題です。公式の対策は、WSL側でsudo loginctl enable-lingerによりユーザーサービスの常駐を許可してopenclaw gateway installを実行し、さらにWindows側でOS起動時にWSLを立ち上げるスケジュールタスクを登録する二段構えです。ここを飛ばすと、再起動のたびに手動でWSLを開く運用になってしまいます。
Mac miniを常駐ホストに仕立てる

X(旧Twitter)でも「OpenClaw用にMac miniを買った」という報告をよく見かけますが、先に述べたとおりMac miniが必須なわけではありません。省電力・静音で置きっぱなしにできる常時稼働ホストとして都合が良い、というのが実態です。要件はmacOSアプリがmacOS 15.0(Sequoia)以降、CLIが使うNode 24/26バイナリはmacOS 13.5以上で、現行のApple Silicon搭載Mac miniなら問題になりません。
導入は2通りあります。GUIで進めるならGitHubリリースからOpenClaw-<version>.dmgを取得してアプリを起動し、ローカルGatewayを選択すればCLIランタイムのセットアップまで自動で完了します。CLI派なら共通のインストールスクリプトを実行し、オンボーディング後にGatewayをサービス登録します。
curl -fsSL https://openclaw.ai/install.sh | bash
# Gatewayをlaunchdサービスとして登録
openclaw gateway install
# 状態確認と再起動
openclaw gateway status --deep
openclaw gateway restart
常駐の実体はユーザーごとのLaunchAgentで、ラベルはai.openclaw.gateway、plistは~/Library/LaunchAgents/ai.openclaw.gateway.plistに置かれます。launchdが面倒を見るため、プロセスがクラッシュしても自動で再開し、Macを再起動してもログイン時に自動起動します。ここがMac miniを常駐ホストにする際の再起動対策の核心で、cronのようなスケジュール実行はGatewayプロセスが動き続けていることが前提になるため、launchd管理に乗せておく価値は大きいです。
ログは~/Library/Logs/openclaw/gateway.logに出力されます。運用上の注意として、公式ドキュメントは状態ディレクトリをiCloud Driveなどのクラウド同期フォルダに置かないよう明記しています。同期の競合で状態が壊れる典型パターンです。加えて無人運用のMac miniでは、システム設定の省エネルギーで自動スリープを止めておかないと、スリープ中はメッセージに反応できない点も押さえておきましょう。
起動確認とよくあるエラー
どの環境でも、最後はGatewayのヘルスエンドポイントで機械的に確認できます。デフォルトポートは18789です。

curl -fsS http://127.0.0.1:18789/healthz # 生存確認
curl -fsS http://127.0.0.1:18789/startupz # 起動シーケンス確認
curl -fsS http://127.0.0.1:18789/readyz # 依存を含めた準備完了確認
つまずきやすいポイントを、原因と対処のセットで挙げておきます。
- ❌ コンテナ内から127.0.0.1でOllamaに接続してタイムアウト → ⭕ コンテナ内の
127.0.0.1は自分自身。接続先をhttp://host.docker.internal:11434に変更する - ❌ npmでインストールしたのに初期化が終わっていない → ⭕
--allow-scripts=openclawの付け忘れを確認し、openclaw onboard --install-daemonを手動実行する(インストーラスクリプト経由なら自動で走る) - ❌ WSL2構成でWindows再起動後にBotが無反応 → ⭕ ログイン前にWSLが起動していない。
loginctl enable-lingerとOS起動時のWSL起動タスクを登録する - ❌ Dockerイメージ更新後に起動しない → ⭕ 状態ボリュームを指定して
openclaw doctor --fixを実行する(起動時の自動マイグレーションで解決しない場合の公式復旧手順) - ❌ リモートのGatewayに127.0.0.1で接続しようとして失敗 → ⭕ 別マシンからの接続では到達可能なGateway URLを指定する必要がある
法人で使うなら最低限ここを締める
OpenClawはチャネル経由で外部からメッセージを受け取る構造上、届いた文面を信頼できない入力として扱う前提で設計されています。会社で動かすなら、公式セキュリティガイドが挙げる次の3点は最初に確認してください。
- 権限(ペアリング): DM可能なチャネルでは未知の送信者は既定でペアリング待ちになります。承認は
openclaw pairing approve <channel> <code>を明示的に実行した相手だけに絞り、誰でも話しかけられる状態にしないこと。 - 実行環境の隔離: サンドボックスを構成しない限り、メインセッションのツールはホスト上で直接実行されます。他のユーザーを接続したりGatewayを外部公開する前に、公式のサンドボックスガイドと公開時のセキュリティ手順(exposure runbook)を読むことがドキュメントで明確に求められています。迷うならDocker経路で隔離を確保するのが早道です。
- トークンの置き場: モデルAPIキーとGatewayトークンは
.envや環境変数で渡し、リポジトリやIssueにコミットしない。Docker運用ではセットアップスクリプトが生成する.envの権限管理まで含めて扱いを決めておきます。
外部送信の観点では、既定でOpenClaw本体が外部に送るのは1日1回のバージョンチェックのみで、匿名の利用統計はオプトイン、update.checkOnStart: falseで両方無効化できると公式READMEに明記されています。社内のネットワーク持ち出し基準と照合しやすい仕様です。
よくある質問
OpenClawはWSLなしのWindowsでも動きますか?
動きます。2026年9月時点の公式ドキュメントでは、Windows 10 20H2以降/11向けのWinUIネイティブアプリとPowerShellインストーラが案内されています。ただしLinux互換性を最大化したい場合はWSL2上のGatewayが推奨ルートです。
Mac miniは必須ですか?
必須ではありません。公式FAQはRAM 4GBで十分としており、常時稼働のホストであればVPSや小型PCでも構いません。省電力で置きっぱなしにできる常駐ホストとしてMac miniが選ばれやすい、という関係です。
Dockerで動かすのとホスト直接インストールはどちらが良いですか?
検証や複数人での利用、外部公開を視野に入れるなら隔離度の高いDockerが安全です。個人の常用マシンでチャネル連携やデバイス機能を素直に使いたいなら、macOS/Windowsのネイティブ経路の方がセットアップは簡単です。
利用料金はかかりますか?
OpenClaw自体はMITライセンスのオープンソースで、有料プランやホスティングサービスはありません。かかるのは接続するモデルプロバイダのAPI利用料と、動かすマシンの電気代・サーバー代です。日々の具体的な使い方はOpenClawとは?使い方・できること・最新版も参照してください。
最後に確認すべきこと
環境選びから運用開始までの確認項目を並べます。上から順に潰せばセットアップは完了です。
- 常駐場所を決めたか(検証・共有ならDocker、常用PCならWindows、24時間ホストならMac mini+launchd)
- Nodeランタイム要件(26推奨、24.16以上/26.1以上)をインストーラに任せるか自前管理か決めたか
- オンボーディング後に
openclaw gateway statusとヘルスエンドポイント(/healthz・/readyz)で疎通確認したか - 再起動対策を入れたか(launchd登録・タスクスケジューラ・WSLのlinger設定)
- ペアリング承認・サンドボックス・トークン管理の3点を運用ルールに落としたか
あわせて読みたい:
- OpenClawとは|できること・セットアップ難易度・注意点 — 導入前に全体像を掴みたい方へ
- Ollamaの使い方 2026|ローカルLLMでAIエージェント — ローカルLLMと組み合わせたい方へ
参考・出典
- Docker installation — OpenClaw Docs — OpenClaw公式ドキュメント(参照日: 2026-09-08)
- Windows — OpenClaw Docs — OpenClaw公式ドキュメント(参照日: 2026-09-08)
- macOS app — OpenClaw Docs — OpenClaw公式ドキュメント(参照日: 2026-09-08)
- Gateway on macOS — OpenClaw Docs — OpenClaw公式ドキュメント(参照日: 2026-09-08)
- openclaw/openclaw — GitHub README — OpenClaw公式リポジトリ(参照日: 2026-09-08)
- FAQ — OpenClaw Docs — OpenClaw公式ドキュメント(参照日: 2026-09-08)
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