Dify vs Flowise比較 — OSSエージェントビルダーの選び方

Dify vs Flowise比較 — OSSエージェントビルダーの選び方

この記事の結論

DifyとFlowiseを料金・機能・RAG対応・セルフホスト要件で徹底比較。技術レベル別おすすめとDocker構築例つきで選び方を解説。

結論: RAG対応・GUI充実度・デバッグ機能を重視するならDify。LangChainエコシステムへのフルアクセスとデータ主権を最優先するならFlowise。どちらもOSSで無料から始められる。

  • Difyは2026年4月時点でGitHub 134,000以上のスター数を持つ最大規模のOSSエージェントビルダー
  • Flowiseは51,900以上のスターを持ち、1GBのRAMでDockerコンテナ1つで動く軽量性が強み
  • Dify Cloudは無料のSandboxプランあり。Flowise Cloudは月$35〜

対象読者: AIエージェントをセルフホストで構築したい開発者、データ主権を重視する企業のシステム担当、Make.comよりも柔軟なOSSを検討しているPM。

「DifyとFlowiseのどちらをチームに導入すべきか決められない」

先月、医療系スタートアップのエンジニアリングチームからこの質問を受けました。患者データを扱うため、クラウドサービスへのデータ送信を避けたい——という制約のもとで、社内ナレッジRAGシステムを構築する要件です。

実際に両ツールをセルフホスト環境で検証した結果、用途と組織の技術レベルで明確に向き・不向きが分かれることがわかりました。

結論ファースト:用途別おすすめ早見表

用途 おすすめ 理由 月額目安(クラウド版)
RAGシステム(社内ナレッジ) Dify マルチ検索・ハイブリッドサーチ・再ランク対応 無料(Sandbox)〜$59
LangChainカスタムコンポーネント統合 Flowise LangChain全コンポーネントをノードとして使用可能 $35〜
データ主権(患者・機密データ) Flowise 1コンテナで完結、外部依存最小 セルフホスト:$0
チームでの並行開発 Dify デバッグパネル・ノード別トレーシングUI $59〜
最軽量セルフホスト Flowise Docker 1コンテナ、1GB RAM〜 セルフホスト:$0
プロンプト実験・チューニング Dify プロンプトエンジニアリングUIが標準搭載 無料Sandbox〜

1. 各ツールの概要と実装例

Dify

概要: フルスタックのLLMアプリケーション開発プラットフォーム。プロンプトエンジニアリング、RAGパイプライン構築、エージェントオーケストレーション、アプリホスティングを1つのGUIで完結させる設計思想。2026年4月時点でGitHubスター数134,000以上(参照日: 2026-04-14)。

強み: RAG機能の充実度、デバッグ体験の良さ、クラウド/セルフホスト両対応
弱み: セルフホストにdocker-compose(8サービス)と最低4GB RAMが必要

# Dify APIクライアント(外部からチャットアプリを呼び出す)
# 動作環境: Python 3.11+, requests>=2.31.0
# pip install requests
# 注意: DIFY_API_KEY環境変数を設定してください(Dify管理画面で取得)。

import os, requests

DIFY_API_URL = "https://api.dify.ai/v1"  # セルフホストは自ドメインに変更
API_KEY = os.environ["DIFY_API_KEY"]

def chat_with_dify(query: str, user_id: str = "user-001") -> dict:
    """Difyのチャットアプリを外部から呼び出す"""
    headers = {"Authorization": f"Bearer {API_KEY}", "Content-Type": "application/json"}
    payload = {"query": query, "user": user_id, "response_mode": "blocking", "inputs": {}}
    response = requests.post(f"{DIFY_API_URL}/chat-messages", headers=headers, json=payload, timeout=60)
    response.raise_for_status()
    return response.json()

result = chat_with_dify("社内の有給申請手続きを教えてください")
print(result["answer"])

最終確認日: 2026-04-14

Flowise

概要: LangChain/LlamaIndexをベースにしたビジュアルAIフロービルダー。ドラッグ&ドロップでLLMチェーンやエージェントを構築できる。2026年4月時点でGitHubスター数51,900以上(参照日: 2026-04-14)。

強み: LangChainエコシステムへのフルアクセス、単一Dockerコンテナで動く軽量性、完全なデータ主権
弱み: Difyほどのデバッグ・プロンプト管理UIはない

# Flowise Docker起動(最小構成)
# 動作環境: Docker 24.x以上, 1GB RAM以上
# 注意: 本番環境では必ず永続化ボリュームとAPIキー認証を設定してください。

docker run -d 
  --name flowise 
  -p 3000:3000 
  -v /path/to/flowise_data:/root/.flowise 
  -e DATABASE_PATH=/root/.flowise 
  -e FLOWISE_USERNAME=admin 
  -e FLOWISE_PASSWORD=yourpassword 
  --restart unless-stopped 
  flowiseai/flowise:latest

echo "Flowise起動完了: http://localhost:3000"
# Flowise APIクライアント
# 動作環境: Python 3.11+, requests>=2.31.0
# 注意: FLOWISE_API_URL と FLOWISE_CHATFLOW_ID を環境変数で管理してください。

import os, requests

FLOWISE_API_URL = os.environ.get("FLOWISE_API_URL", "http://localhost:3000")
CHATFLOW_ID = os.environ["FLOWISE_CHATFLOW_ID"]

def chat_with_flowise(question: str) -> str:
    response = requests.post(
        f"{FLOWISE_API_URL}/api/v1/prediction/{CHATFLOW_ID}",
        json={"question": question},
        timeout=60
    )
    response.raise_for_status()
    return response.json().get("text", "")

answer = chat_with_flowise("この製品の返品ポリシーを教えてください")
print(answer)

2. 機能比較

機能 Dify Flowise
RAG機能 マルチ検索・ハイブリッドサーチ・再ランク・カスタムチャンク LangChainベースの標準RAG
デバッグUI ノード別トレーシングパネル(最良クラス) 基本的なログ表示
LLM対応 OpenAI, Anthropic, Gemini, Llama等主要全モデル LangChain対応の全モデル
セルフホスト要件 docker-compose 8サービス, 4GB RAM〜 Docker 1コンテナ, 1GB RAM〜
ライセンス Apache 2.0(一部機能は別途) Apache 2.0(完全OSS)
GitHubスター数 134,000以上(2026年4月) 51,900以上(2026年4月)

3. 料金比較

料金情報の最終確認: 2026-04-14。変更される場合があるため、必ず公式サイトでご確認ください)

プラン Dify Flowise
無料 Sandbox: メッセージ200クレジット/日, アプリ10本 セルフホストは完全無料
有料最低プラン Professional: $59/月(5,000クレジット, 3名, アプリ50本) Starter: $35/月(10,000予測/月, 1GB)
中間プラン Team: $159/月(10,000クレジット, 20GB) Pro: $65/月(5ワーカー, カスタムドメイン)
エンタープライズ 要見積もり 要見積もり
セルフホスト 無料(OSS版) 無料(OSS版)

4. 用途別おすすめ

社内ナレッジRAG → おすすめ: Dify

規程・マニュアル・議事録をベクター化してQ&Aチャットボットを作るなら、DifyのRAGパイプラインが最も完成度が高いです。ハイブリッドサーチ、再ランクモデルの統合、視覚的なナレッジベース管理UIが標準搭載されています。

# Difyセルフホスト起動(docker-compose)
# 動作環境: Docker 24.x+, docker-compose v2, 4GB RAM以上
# 注意: .envファイルで SECRET_KEY を必ず変更してください。

git clone https://github.com/langgenius/dify.git
cd dify/docker
cp .env.example .env
# .envを編集してSECRET_KEYなどを変更する
docker compose up -d
echo "Dify起動完了: http://localhost:80"

完全セルフホスト(データ主権最優先) → おすすめ: Flowise

医療・金融・法務など機密データを扱う組織では、Flowiseの単一コンテナ構成が管理しやすいです。Difyは8サービスのdocker-composeを運用・監視する体制が必要なため、インフラ管理コストが上がります。

5. 【要注意】選び方の失敗パターン

失敗1: RAG精度が出なかったのにツールのせいにする

❌ 「DifyでRAGを作ったが回答が外れる。Flowiseに変えれば改善するかも」
⭕ RAG精度の主因はチャンクサイズ・埋め込みモデル・再ランク設定にある。まず設定をチューニングする

失敗2: Flowiseをセルフホストしてセキュリティ設定を忘れる

❌ FLOWISE_USERNAME/PASSWORDを設定せずにパブリックIPで公開
⭕ 必ず認証を設定し、ポート3000を外部公開しない(リバースプロキシを挟む)

なぜ重要か: 2026年4月にFlowise MCPコンポーネントでCVSS 10.0のRCE脆弱性が報告されています。最新バージョンへのアップデートと認証設定は必須です。

失敗3: Difyの無料Sandboxで限界を感じてすぐ諦める

❌ 「無料プランで200クレジット/日が少なすぎる」と感じてやめる
⭕ Sandboxはあくまで試用。本格利用はセルフホストOSS版(無料)か有料Cloudプランを選ぶ

失敗4: LangChainの知識なしにFlowiseの高度機能を使う

❌ カスタムノードや複雑なチェーンをドキュメントなしで試行錯誤する
⭕ LangChainの基本概念(Chain, Memory, Tool, Agent)を理解してからFlowiseを触る

参考・出典

まとめ:今日から始める3つのアクション

  1. 今日やること: Difyの無料Sandboxに登録し、サンプルPDF1枚でRAGチャットボットを試作する(30分でできる)
  2. 今週中: FlowiseをDockerでローカル起動し、LangChainのベーシックなQAチェーンを作ってみる
  3. 今月中: 本番ユースケースのデータ主権要件・RAG精度要件・チーム規模を整理して、どちらのアーキテクチャが自社に合うかを決定する

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著者: 佐藤傑(さとう・すぐる)
株式会社Uravation代表取締役。X(@SuguruKun_ai)フォロワー10万人超。100社以上の企業向けAI研修・導入支援。著書累計3万部突破。

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