AI IDEの競争が激しくなってきた。2025年末にGoogleがAntigravityをリリースして以降、Cursor・Windsurfに並ぶ第三の選択肢として急速に存在感を増している。LogRocketが2026年3月に公開したAI開発ツールのパワーランキングではAntigravityが2位につけており、無視できない存在になった。

この3ツールを実際に試した感想と、公開されているスペック・機能をもとに整理する。「どれを使えばいいか」という判断軸を先に提示してから、詳細に入る。

スペック比較

項目 Google Antigravity Cursor 3 Windsurf Wave 13
ベースエディタ VS Codeフォーク VS Codeフォーク VS Codeフォーク
デフォルトモデル Gemini 3.1 Pro Claude Opus 4.5/Sonnet 独自モデル+外部LLM
マルチモデル対応 Gemini系+Claude+GPT-OSS Claude+GPT系+Gemini Claude+GPT系
MCP対応 あり(2026年初頭追加) あり あり(Wave 13)
同時並列エージェント数 最大5 最大4(Agent Loops) 複数(Cascade Chain)
ブラウザ操作統合 Chrome自動化内蔵 Playwright拡張経由
コンテキスト参照 2Mトークン(Gemini 3.1 Pro使用時) 1Mトークン 最大200K
料金(個人利用) 無料(パブリックプレビュー中) $20/月(Pro) $15/月(Pro)
LogRocketランキング(2026年3月) 2位 1位 3位

価格・機能は2026-04-15時点。Antigravityはプレビュー期間中のため、GA後に変更の可能性あり。

エージェント機能で比較する

3ツールの最も大きな差が、マルチエージェント管理の設計思想だ。

Google Antigravity: 「エージェントファースト」の二画面設計

AntigravityはEditor ViewとManager Viewという二つの画面を持つ。Editor Viewは普通のコーディング作業用、Manager Viewは複数エージェントの指示・進行管理用だ。

最大5つのエージェントを並列で走らせ、それぞれに「フロントエンドの修正」「テストの更新」「ドキュメント生成」のように異なる役割を割り振れる。各エージェントは独立したWorkspaceで動作するため、ファイル競合が起きにくい設計になっている。

# Google Antigravity セットアップ(2026年4月時点)
# 公式サイト: antigravity.codes からダウンロード

# 1. インストール後、Googleアカウントでログイン
# 2. Agent Managerでマルチエージェント設定

# MCPサーバー接続例(antigravity.json設定)
# ファイルパス: ~/.antigravity/antigravity.json
{
  "mcpServers": {
    "github": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-github"],
      "env": {
        "GITHUB_PERSONAL_ACCESS_TOKEN": "${GITHUB_TOKEN}"
      }
    },
    "filesystem": {
      "command": "npx",
      "args": ["-y", "@modelcontextprotocol/server-filesystem", "/path/to/project"]
    }
  }
}

# 注意: 本番環境で使用する前に、必ずテスト環境で動作確認してください。

Antigravityの際立った特徴はChrome DevToolsとのネイティブ統合だ。エージェントがブラウザを起動してページを操作し、コンソールエラーを拾ってコードを修正する——という一連の動作をIDE内で完結できる。フロントエンド開発やE2Eテストの自動化に強みがある。

Cursor 3: 実績と安定性のリーダー

LogRocket 2026年3月ランキングで1位を維持しているCursorは、エージェント機能のチューニングが成熟している。Agent Loops(最大4並列)、Background Agents(CI/CD連動の非同期エージェント)、Automations(条件トリガーでエージェントが自動起動)の三層構造が特徴だ。

# Cursor 3 Background Agent設定例
# .cursor/agents.json

{
  "agents": [
    {
      "name": "pr-review-agent",
      "trigger": "on_pr_open",
      "model": "claude-opus-4-7",
      "instructions": "Pull Requestを開いたら、変更ファイルをレビューし、問題点をコメントとして追加してください。",
      "tools": ["read_file", "search_codebase", "github_comment"]
    },
    {
      "name": "test-generator",
      "trigger": "on_file_save",
      "file_pattern": "src/**/*.ts",
      "model": "claude-sonnet-4-6",
      "instructions": "TypeScriptファイルが保存されたら、対応するテストファイルを更新してください。"
    }
  ]
}

# 注意: 本番環境で使用する前に、必ずテスト環境で動作確認してください。

CursorはOpus 4.7リリース当日から対応しており、SWE-bench Proで64.3%を叩き出したモデルをそのまま使えるのは大きなアドバンテージだ。

Windsurf Wave 13: 軽量・高速のダークホース

Wave 13ではMCP対応とCascade Chainと呼ばれるエージェント連鎖機能が追加された。コンテキストウィンドウが200Kと3ツール中最小だが、その分レイテンシが低く、タブ補完の速さはエディタ中トップクラスという評価が多い。

# Windsurf Wave 13 MCP接続例(Python)
# windsurf.config.py

MCP_SERVERS = {
    "database": {
        "command": ["python3", "-m", "mcp_server_sqlite"],
        "args": ["--db-path", "./project.db"],
        "description": "プロジェクトDBへのアクセス"
    },
    "docs": {
        "command": ["npx", "@modelcontextprotocol/server-brave-search"],
        "env": {"BRAVE_API_KEY": "YOUR_KEY"}
    }
}

# 注意: 本番環境で使用する前に、必ずテスト環境で動作確認してください。

コストで比較する

AntigravityはパブリックプレビューのためGA後の料金は未定だが、GoogleがGemini APIを直接バンドルする形をとるため、Geminiモデルの使用量が実質無制限になる可能性がある。

プラン Antigravity Cursor 3 Windsurf
無料枠 無制限(プレビュー中) 2,000 completions/月 25 Flows/月
個人Pro 未定(プレビュー中は無料) $20/月(requests無制限) $15/月
チーム/企業 未定 $40/ユーザー/月 $35/ユーザー/月

料金情報の最終確認: 2026-04-15。Antigravityのプレビュー後の料金は公式発表を待つこと。

コストを考慮した場合、Anthropicモデル(Claude Opus 4.7等)を多く使いたいチームはCursor 3が有利。Geminiモデルを使いたいチームはAntigravityが圧倒的に安い(プレビュー期間中は無料)。

MCP対応で比較する

3ツールともMCP(Model Context Protocol)に対応しているが、成熟度に差がある。

MCP項目 Antigravity Cursor 3 Windsurf Wave 13
設定方法 JSON設定ファイル GUI + JSON両対応 JSON設定ファイル
公式MCPサーバー数 主要6種類公式サポート 20種類以上公式サポート 主要8種類サポート
カスタムMCPサーバー 可能 可能 可能
UIからのMCP管理 部分的 GUIで完結可能 部分的

参照日: 2026-04-15

MCPサーバーのエコシステムの広さという意味では、現時点でCursorがリードしている。Antigravityは2026年初頭にMCPを追加したばかりで、エコシステムは成長中だ。

筆者のおすすめ — 用途別の判断軸

コーディングエージェントの精度を最優先にする開発者 → Cursor 3

Opus 4.7との組み合わせが現時点でSWE-bench Pro最高スコア。エージェントの成熟度・MCPエコシステム・Background Agents機能のバランスがよく、本番プロジェクトで使う安心感がある。

フロントエンド開発・E2Eテストを自動化したい → Google Antigravity

Chrome DevToolsとのネイティブ統合は他の2ツールにない機能だ。ブラウザ操作が絡む自動化パイプラインを構築するなら、Antigravityの強みが出る。プレビュー中の無料期間に試しておく価値がある。

チームの全員がAI IDEを使いたい(コスト重視) → Windsurf

$15/月という価格は3ツール中最安で、レイテンシも低い。全員が毎日使うことを考えるとCursorの$20との差はチームサイズによっては大きくなる。ただし大規模コードベース対応は弱い。

Geminiを最大限活用したい / Google Cloud中心の技術スタック → Antigravity

2Mトークンコンテキストのgemini-3.1-pro、Nano Banana連携、GoogleアカウントとのPersonal Intelligence統合——Google製品を使い込んでいるチームには最も相性がいい。

【要注意】3ツールを試す際の落とし穴

落とし穴1:Antigravityのプレビュー後料金に注意

現在無料だからといって深く依存するのは早計だ。GA後の料金体系次第では、Geminiモデルの使用量に応じたコストが発生する可能性がある。早めに料金シミュレーションをしておこう。

落とし穴2:コンテキストウィンドウと実使用トークンのギャップ

Antigravityの「Gemini 3.1 Pro使用時2Mトークン」は理論上の上限だ。コンテキストに大量のコードを詰め込みすぎると、エージェントの注意力が分散して有効な推論ができなくなるケースがある。1M以下のコンテキストで精度が出ているCursorと実用上の差が出ないこともある。

落とし穴3:VS Codeの拡張機能との互換性

3ツールともVS Codeフォークだが、独自の拡張機能を多く使っているチームは移行前に互換性チェックが必要だ。特にAntigravityは比較的新しいため、マーケットプレイスの拡張機能との相性問題が報告されているケースがある。

出典


まとめ:今日から始める3つのアクション

  1. 今日: AntigravityをLogRocketのパワーランキングとともに確認し、公式サイト(antigravity.codes)からダウンロードして最初のプロジェクトで動かしてみる(無料)
  2. 今週中: 自分が最もよく使うMCPサーバー(GitHub / DB / Docs等)を3ツールそれぞれに設定して比較検証する
  3. 今月中: チームの実際のタスク(コードレビュー・テスト生成・バグ修正等)でCursorとAntigravityを試し、SWE-bench的なタスク完了率を主観的に評価して採用判断をする

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この記事はAIgent Lab編集部がお届けしました。