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iOS 27でSiriをClaude/ChatGPTに差し替え|2機構

iOS 27でSiriをClaude/ChatGPTに差し替え|2機構

この記事の結論

iOS 27とmacOS Golden Gateのコードに、SiriのAIをClaudeやChatGPTへ差し替える2機構が実装。第三者への開放状況、EUのDMAとの関係、いま準備できるApp Intents整備を2026年9月時点で整理。

判断の分かれ目は「拡張として横に乗せるか、推論そのものを丸ごと置き換えるか」に尽きます。2026年9月14日にMacRumorsが報じたApple’s Siri AI Can Be Swapped Out for Claude, ChatGPT, Code Showsは、iOS 27とmacOS Golden Gateの非公開フレームワークに、その2種類の差し替え口が両方とも実装されていたという話です。前者はClaudeをSiriの「拡張」として並べるもの、後者はApple自身のサーバー側Siriモデルを外部モデルに入れ替えるもの。性質がまったく違うので、自社のエージェント設計にどう効くかも別々に考える必要があります。

2026年9月16日時点のスナップショットを先に置きます。Appleはこの2機構のどちらも第三者に開放していません。macOS 27 Golden Gate リリース候補で「Ask…」メニューに出せるのは、Appleが公式サポート文書に載せているChatGPT拡張だけです。Claudeはコード上は動くが、ユーザーからは選べない。つまりこれは「明日から使える機能」ではなく、Appleが将来のモデル差し替えを前提にSiriを設計し直した証拠として読むべきニュースです。

その将来を押しているのはEUのDigital Markets Act(DMA)です。Appleは2026年6月8日に「DMAが理由でEUのiOS 27/iPadOS 27にSiri AIを出せない」と公式発表し、9月14日の提供開始時点でもEUのiOS・iPadOS・watchOSでは使えない状態が続いています。EU拠点を持つ日本企業は、「使える/使えない」が地域で割れる前提で設計する必要があります。

iOS 27のコードに入っていた2つの差し替え口

iOS 27のコードに入っていた2つの差し替え口
iOS 27のコードに入っていた2つの差し替え口

MacRumorsの記事は、コード解析で知られる「pdfu」氏の発見をもとにしています。同氏はX上の投稿で「iOS 27とmacOS Golden Gateには、アプリがSiri Extensionsを追加し、Siri AIのサーバーバックエンドを第三者モデルに置き換えられる非公開フックがある」と説明し、実機デモ動画を公開しました。仕組みは2つに分かれます。

機構1: Model Delegation(拡張として並べる)

1つめはModel Delegationと呼ばれる仕組みで、pdfu氏によればApp Intents側のAPIとして実装されています。これを使うと、Claudeが既存のChatGPT拡張とまったく同じ経路でSiriの拡張として登場します。デモでは、macOSの「Search or Ask」バーを開き、「Ask…」のコンテキストメニューからClaudeを選択。拡張を有効にしたうえで「Claudeに聞いて、リマインダーを作って」と依頼すると、Claudeが自然言語のリマインダー要求を解釈し、実際の作成はSiriが行っていました。

ここが設計として重要な点で、Appleのシステム機能に触る必要が出た瞬間、タスクはSiriに投げ返されています。外部モデルは「解釈役」であって「実行役」ではない。もう1つのデモでは、Siri単体ではできないCSVファイル作成をClaudeが引き受けて結果を返しており、生成系は外部に逃がしOS機能はSiriが握るという役割分担が見て取れます。

機構2: Inference Provider(サーバーモデルごと入れ替える)

2つめはより踏み込んでいます。「Model Manager Services」内のInference Providing(推論提供)プロトコルを使うと、Apple自身のサーバーサイドSiriモデルをGPT-5.6などの別モデルで完全に置き換えられるとされています。このとき外部モデルが受け取るのは、Appleのネイティブなプランナープロンプトとツール定義です。つまりGPT-5.6がSiriの頭脳として、システムアクションを要求し、その結果として個人データを受け取り、回答を組み立てる。ユーザーが見るのはSiriのUIとSiriの声のまま、という構造になります。

デモでは、Siriアプリ内のChatGPTモデルに対して「特定トピックのメールを探し、内容とアクションアイテムを要約し、連絡先の相手にメッセージアプリで送る」と依頼し、その一連の処理がOpenAIのプラットフォーム側Web管理画面にログとして記録されている様子まで映されていました。

観点 Model Delegation(拡張型) Inference Provider(置換型)
外部モデルの立ち位置 Siriの隣に並ぶ「拡張」 Siriの中身そのもの
ユーザーの見え方 「Ask…」で明示的に選ぶ Siriの画面・音声のまま(見た目は変わらない)
OS機能の実行者 Siriに投げ返して実行 外部モデルがツール呼び出しで要求
渡るもの ユーザーの依頼と添付 Appleのプランナープロンプト+ツール定義+取得した個人データ
2026年9月時点の開放状況 ChatGPT拡張のみ有効。第三者向けentitlementは未開放 未開放・ユーザーからは不可視

エージェントを設計する側から見ると、この2つはリスクの質がまるで違います。拡張型は「外部に相談する窓口が1つ増える」だけですが、置換型はAppleが設計したツール定義とプロンプト、そして個人データが、まるごと別ベンダーのモデルに渡る。監査・ログ・データ処理契約の観点では、後者は別レイヤーの検討事項になります。

Appleが公式に認めている線引き

Appleが公式に認めている線引き
Appleが公式に認めている線引き

事例区分: 公開事例
以下はApple公式サポート/公式法務ページに記載されている内容です。

「拡張」という言い方は憶測ではありません。Appleの公式サポート文書Turn on ChatGPT on Macには、Siri AI(ベータ)利用時の手順として「Set Up Extensions をクリックし、ChatGPT をクリックして、Use Extension をオンにする」という記述があります。UIの文言が複数形の「Extensions」になっている——現状そこに入るのはChatGPTだけなのに、です。pdfu氏が見つけたコードは、この複数形の受け皿が実在することを裏づけた格好になります。

データの扱いも公式に明文化されています。ChatGPT Extension & Privacyによれば、ChatGPT拡張に送られるのはユーザーの依頼と添付ファイル(書類・写真など)に加え、タイムゾーン・国・デバイス種別・言語といった限定的な付随データです。IPアドレスはChatGPT側から秘匿されます。そしてアカウント未接続の場合、OpenAIは依頼の履行目的以外に情報を保存してはならないとされる一方、ChatGPTアカウントを接続すると、依頼・添付・セッション履歴がログされ、モデルの学習・改善に使われ得ると明記されています。

この「アカウントを繋いだ瞬間にログと学習の扱いが変わる」構造は、ChatGPTのOAuth連携が開発者側にもたらす影響と同じ論点です。社内の誰がどのアカウントで繋いだかで統制が変わる点は、Sign in with ChatGPT登場|開発者への6つの影響で整理した認可フローの話とセットで考えると分かりやすいはずです。

一方でAppleが公式に言っていないことも、はっきりさせておきます。Model DelegationのentitlementはまだAppleから第三者に開放されておらず、ユーザーに見える機能でもありません。「いつ開放されるか」「ユーザーが好きなAIプロバイダを選べるようになるか」について、2026年9月16日時点でAppleからの公式発表は確認できていません。ここを「もう選べる」と書いている日本語記事も見かけますが、一次情報にその記述はないので注意してください。

Siri AI本体の設計と、モデル差し替えの位置づけ

差し替えの話を評価するには、置き換えられる側が何なのかを押さえておく必要があります。Appleは2026年9月14日のニュースルーム記事Siri AI, a profoundly more capable and personal assistant, is hereで、新しいSiriの中身をこう説明しています。

  • これらの機能は次世代のApple Foundation Modelsによって動いており、Apple Intelligence体験に深く統合するためGoogleおよび同社のGeminiモデルとの協業でカスタムビルドされている
  • モデルはオンデバイスと、Private Cloud Computeを使うサーバーの両方で動作する
  • Siri AIは英語のベータとして提供開始。フランス語・日本語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語は翌月(2026年10月)に拡大予定
  • 対応はiOS 27/iPadOS 27/macOS 27/watchOS 27/visionOS 27で、Apple Intelligence対応デバイスかつ対応言語設定が必要

つまりSiriのサーバーモデルは、そもそもApple単独の自社モデルではなくGoogleとの協業で作られたものです。そこにさらにInference Providerの口が開いているという事実は、Appleがモデル層を「交換可能な部品」として明確に切り出したことを意味します。アシスタントの価値を、モデルの賢さではなく「個人データへの安全な経路とOS操作権限」の側に置く設計判断です。プロトコル側で同じ方向に進んでいるのがMCPで、2026年のロードマップでも認証の標準化と非同期メッセージングが中心テーマになっています(MCPロードマップ2026解説|脱ポーリングと認証標準化へ)。AppleのApp Intentsは閉じたエコシステム内の同種の試みだと捉えると、両者の比較がしやすくなります。

EUのDMAがこの設計を押している

EUのDMAがこの設計を押している
EUのDMAがこの設計を押している

MacRumorsは、この実装の背景としてDMAの存在を挙げています。DMAは、Appleが自社サービスに提供しているのと同等のiOSハードウェア・ソフトウェア機能へのアクセスを第三者にも実効的に与えるよう求めるもので、欧州委員会はこの原則がSiriにも及ぶとしている、というのが記事の説明です。

欧州委員会のDMA Interoperability 開発者ポータルには、第6条7項が「ゲートキーパーは、自社のサービスやハードウェアが利用できるのと同じOSのハードウェア・ソフトウェア機能へのアクセスを第三者に許可しなければならない」と定めていること、およびApple向けの仕様決定(Connected devices and request-based process、2025年3月)が掲載されています。同ページ自体に音声アシスタントやSiriの名指しはありません。Siriへの適用は、後述するApple側の公式声明と報道から読み取る形になります。

そのApple側の公式声明が、2026年6月8日のニュースルーム記事Due to DMA, Siri AI delayed in EU for iOS 27 and iPadOS 27です。要点は次のとおりです。

  • EUのiOS 27・iPadOS 27ではSiri AIを提供しない。watchOS 27も、Siri AI搭載iPhoneとのペアリングを必要とするため対象外
  • EUユーザーもmacOS 27とvisionOS 27ではSiri AIを利用できる
  • Appleは「Trusted System Agent」——第三者の仮想アシスタントがSiri AIと同じ機能・能力に安全にアクセスできるようにする中間層——と18か月の展開計画を提案したが、受け入れられなかった
  • Appleの主張では、規制当局の解釈に従うと「いかなる仮想アシスタントに対しても、ユーザーのプライベートデータへの直接アクセスと、インストール済みアプリを直接制御する能力を与えなければならない」ことになる
  • ソフトウェアエンジニアリング担当上級副社長のCraig Federighi氏は「今年後半の新ソフトウェアリリース時に、EUのユーザーがiPhoneやiPadでSiri AIを使えないことを深く残念に思う」と述べた

そして9月14日の提供開始時点でも、Appleは公式に「Siri AIは当初、EUのiOS・iPadOS・watchOSでは利用できない。Siri AIに依存する機能もEUのこれらのOSでは利用できない」と記載しています。macOSだけEUで使えるという非対称は重要で、pdfu氏のデモがmacOS Golden Gate上で行われていることとも符合します。

この「規制がアシスタントの相互運用性を開かせる」構図は、Appleに限った話ではありません。Android側でも同じ論点が先行しており、EUがAIアシスタントの開放を命じた際に開発者が何をすべきかはAndroidのAI開放をEUが命令、開発者は何をすべきかで整理しています。プラットフォーム2社が同じ方向に押されている以上、これは一時的な例外ではなく構造変化として扱うのが妥当です。

HNコミュニティの反応(一次情報ではなく、参考意見として)

Hacker Newsのスレッド(224ポイント、155コメント)では、評価が割れていました。以下は個人の意見であり、Appleや欧州委員会の公式見解ではありません

  • 「非常に巧みなプラットフォーム戦略だ。Siriやmacを全AIワークフローの入口にし、モデルを交換可能にすれば、AppleはAI競争で強力な武器を持つ」という肯定的な読み
  • 「これはAppleのプランAではなかった。自社モデル開発で大きく失敗しても、手持ちの選択肢の多さで良いポジションに着地できてしまう」という冷めた指摘
  • 「Appleがコード上でモデルを差し替えられることと、エンドユーザーにモデルを選ばせることの間には差がある」「中身を替えてもUIとブランディングはSiriのままで、それがDMAの要件を満たすとは思えない」というDMA適合性への懐疑

最後の指摘は実務的にも要点を突いています。Inference Provider経由でモデルだけ替えても、ユーザーから見れば「Siri」のままです。規制が求めているのが「アシスタントそのものの置き換え」なのか「モデルの選択肢」なのかで、着地点は変わります。

日本企業のエージェント運用に効く3つの論点

論点1: 「入口」の主導権をOSに握られる前提で設計する

社内向けエージェントを作っているチームは、たいてい自前のチャットUIやSlackボットを入口にしています。しかしSiri AIのようなOS統合アシスタントが「個人データへの安全な経路」を握ると、ユーザーの初手はOS側のアシスタントに吸い寄せられます。モデルを自社で選べるかどうかより、自社の業務アクションが構造化されて外から呼べる形になっているかのほうが先に効きます。

論点2: ログと監査証跡がどこに残るかを先に決める

pdfu氏のデモで見逃せないのが、Siri経由の依頼がOpenAIのプラットフォーム管理画面にログとして残っていた点です。Inference Provider構成では、業務データを含む会話がAppleの管理下ではなく、差し替え先ベンダーの管理下に記録されることになります。前掲のChatGPT拡張のプライバシー文書のように、アカウント接続の有無で保存・学習の扱いが変わるケースもあるため、接続設定そのものをIT資産として管理する必要があります。

論点3: EU拠点があるなら「地域で機能が割れる」前提を設計に入れる

2026年9月時点で、同じ会社の同じ業務アプリでも、日本のiPhoneではSiri AI連携が動き、EUのiPhoneでは動かない、という状態が現実に起きます(macOSでは両方動く)。「全社員が同じ体験をする」前提の運用手順書は、この時点で破綻します。Siri連携が使えない環境ではアプリ内UIやWeb版に誘導する代替フローを、最初から二系統で用意しておくのが安全です。

いま着手できるのはApp Intentsの整備だけ

いま着手できるのはApp Intentsの整備だけ
いま着手できるのはApp Intentsの整備だけ

2機構とも第三者に開放されていない以上、待っていても始まりません。開放されたときに即座に乗れる唯一の準備が、App Intentsの整備です。AppleはApp Intentsを「Apple Intelligenceに発見されるようにアプリのアクションとデータを構造化して表現する」フレームワークと位置づけており、公式ドキュメントにはこう書かれています——「App Intentsを使えば、アプリのアクションとデータを構造化された方法で表現でき、Apple Intelligenceがそれを発見できるようになる」。コンパイル時に、Apple Intelligenceやその他のシステム機能がインテント・エンティティ・列挙型を発見して使うための情報が生成される仕組みです。

この層はどのモデルがSiriの裏で動いていても変わりません。Model DelegationだろうとInference Providerだろうと、外部モデルが最終的に呼ぶのはAppleのツール定義であり、その実体はApp Intentsで宣言されたアクションです。

基本形(Apple公式ドキュメント掲載のサンプル)

動作環境: Swift/App Intentsフレームワーク(iOS 16以降で導入。Siri AI連携にはiOS 27世代のSDKが必要)。以下はApple公式のAppIntentリファレンスに掲載されているサンプルです。

struct OrderAlbum: AppIntent {
    static var title: LocalizedStringResource { "Order Album" }
    static var description = IntentDescription("Order a vinyl record album.")

    @Parameter(title: "Album", description: "The name of the album to order.")
    var albumName: String

    @Dependency
    private var albumManager: AlbumDataManager

    func perform() async throws -> some IntentResult {
        // Perform the action...
        return .result()
    }
}

ポイントは@Parameterです。Appleのドキュメントによれば、システムはperform()を呼ぶ前に、このプロパティラッパーが付いた引数を会話の文脈から推論するか、本人に明示的に尋ねて解決します。つまりパラメータのtitledescriptionは、単なるUI文字列ではなくモデルに読ませるツール仕様として機能します。ここが雑だと、どんな高性能モデルを差し込んでも正しく呼ばれません。

アシスタントスキーマ(既知の業務ドメインに合わせる)

Appleは、よく使われるアクションについてアシスタントスキーマという定型を用意しています。AssistantSchemasのリファレンスには、スキーマ準拠を強制するSwiftマクロ@AssistantIntent(schema:)(およびエンティティ用・列挙型用のマクロ)が定義されており、対応ドメインは以下のように整理されています。

ドメイン スキーマが対象とする機能 業務システムでの主な当てはまり
Mail メールの記述・操作 社内メール連携、通知配信
Files ファイル管理 ドキュメント管理システム
Reader / Documents 文書の閲覧・編集 契約書・報告書ビューア
Spreadsheet 表計算データ 集計・台帳系アプリ
Presentation プレゼン資料 提案書作成支援
Word Processor ワープロ機能 文書作成ツール
Browser Web閲覧データと操作 社内ポータル、SaaS画面
Photos / Camera 写真・動画・カメラ 現場記録、点検アプリ
Journal ジャーナリングデータ 日報・作業記録
Whiteboard ホワイトボード機能 共同編集ツール
System システム機能全般 設定・デバイス操作
Visual Intelligence ビジュアルインテリジェンス連携 画像起点の検索・照合
Books 電子書籍・オーディオブック 教材・マニュアル配信

自社アプリの機能がこの表のどれかに当てはまるなら、独自インテントを一から書くよりスキーマ準拠にしたほうがアシスタント側に理解されやすいと考えられます。具体的なスキーマ識別子(schema:に渡す値)は世代ごとに追加されるため、実装時は必ず上記の公式リファレンスで最新の一覧を確認してください。

同じ能力をMCP側にも出しておく(構成例)

事例区分: 想定シナリオ/構成例
以下は実測値ではなく、設計の考え方を示す構成例です。

App Intentsで宣言した能力は、Appleエコシステム内でしか使えません。同じ業務アクションを社内エージェントやClaude・ChatGPTから直接呼びたいなら、Model Context Protocolのツールとしても同じ粒度で出しておきます(動作環境: MCPサーバー実装/JSON Schema)。

{
  "name": "order_album",
  "description": "指定されたアルバム名でレコードの注文を作成する。注文確定前に必ず確認を返す。",
  "inputSchema": {
    "type": "object",
    "properties": {
      "album_name": {
        "type": "string",
        "description": "注文するアルバムの名称。カタログに存在する表記を使う。"
      }
    },
    "required": ["album_name"]
  }
}

見比べると、descriptionの書き方がそのまま品質を決める点は両者で共通しています。「能力の棚卸し」を一度やっておけば、App Intentsにも、MCPにも、将来どんな差し替え口が開いても同じ資産を流用できる。これが、開放を待つ間にやる価値のある唯一の作業です。本番環境で使用する前に、必ずテスト環境で動作確認してください。

ここでハマりやすい4つの誤解

「iOS 27でSiriをClaudeに変更できるようになった」と社内に説明する
⭕ 2026年9月16日時点で第三者向けentitlementは未開放です。ユーザー設定から選べる機能ではありません。「Appleが差し替え可能な設計にした痕跡が見つかった」が正確な表現です。社内展開の計画に組み込むのはまだ早すぎます。

「モデルを差し替えても、Appleのプライバシー保護がそのまま効く」と考える
⭕ Private Cloud ComputeはApple Foundation Modelsの実行基盤であり、外部モデルに差し替えた経路の保証ではありません。ChatGPT拡張についてAppleが公開しているのは「IPアドレスの秘匿」「アカウント未接続時の非保存」までで、アカウントを接続すればログと学習利用の対象になります。差し替え先ごとにデータ処理条件を個別に確認する必要があります。

「EUでも時間が経てば使えるようになる」と決め打ちする
⭕ Appleは6月8日の発表時点で「EUにおけるiOS・iPadOSのSiri AI提供時期の見通しは現時点でない」と説明しており、9月14日の提供開始時点でも状況は変わっていません。EU拠点向けの業務手順は、Siri AIが使えない前提で作るのが安全です。

「App Intentsの整備は、Siriが賢くなってから着手すればいい」と後回しにする
⭕ 逆です。App Intentsはモデルに依存しない層なので、どのモデルが裏に入っても資産として残ります。@Parameterの説明文がモデルへのツール仕様として使われる以上、書き直しには実装以上のレビュー工数がかかります。

今週から手をつけられる検証ステップ

今週から手をつけられる検証ステップ
今週から手をつけられる検証ステップ
  1. 能力の棚卸し表を作る:自社アプリ/社内システムの業務アクションを「名前・入力・出力・副作用の有無・承認要否」で一覧化します。ここで「承認が必要なアクション」を分けておくことが、後のガードレール設計に直結します。
  2. アシスタントスキーマとの対応づけを確認する:棚卸しした各アクションが、Appleのアシスタントスキーマのどのドメインに当てはまるかを公式リファレンスで照合します。当てはまらないものは独自インテントとして扱う判断になります。
  3. macOS 27で現状の挙動を確認する:EU拠点を含めて検証するなら、macOS 27が現時点で唯一の共通土俵です。Apple公式手順どおりにChatGPT拡張を有効化し、「Ask…」経由でどこまで社内データに触れられるかを確認します。
  4. ログの落ち先を確かめる:拡張経由の依頼がどのベンダーのどの管理画面に記録されるかを、アカウント接続あり/なしの両方で実際に見ます。
  5. 地域差分のフォールバックを決める:Siri連携が使えない地域・デバイスでの代替導線(アプリ内UI、Web版、Shortcuts)を運用手順書に書き込みます。

よくある質問

Siri AIとは何で、従来のSiriと何が違うのですか?

Appleが2026年9月14日に提供を開始した、全面的に作り直されたSiriです。公式発表によれば、個人的な文脈の理解、幅広い一般知識、画面上の内容の認識、システム全体でのアプリ操作に対応します。中身は次世代のApple Foundation Modelsで、GoogleおよびGeminiモデルとの協業でカスタムビルドされ、オンデバイスとPrivate Cloud Computeのサーバー側の両方で動作します。

Siri AIの対応機種と対応言語は?

iOS 27/iPadOS 27/macOS 27/watchOS 27/visionOS 27に対応し、Apple Intelligence対応デバイスかつ対応言語に設定されていることが条件です。Apple Intelligenceの対象は、iPhone 16以降、iPhone 15 Pro/Pro Max、iPad mini(A17 Pro)、M1以降のiPadなどとされています。言語は英語のベータで開始し、フランス語・日本語・韓国語・ポルトガル語・スペイン語は2026年10月に拡大予定と公式に案内されています。

Siri以外のAIをSiriの代わりに使えますか?

2026年9月16日時点では、公式に使えるのはChatGPT拡張だけです。Appleのサポート文書に沿って「Set Up Extensions」からChatGPTを有効化すると、Siri経由でChatGPTに回答を任せられます。Claudeやその他のモデルをユーザーが選ぶ仕組みは、コード上に存在することが確認されただけで、Appleから開放されていません。

Claudeが「Siri拡張」として動いたのなら、もう使えるのでは?

使えません。デモは非公開フレームワークを直接叩いたもので、MacRumorsによればmacOS 27 Golden Gateリリース候補で「Ask…」に実装されているのはChatGPT拡張のみです。Appleはモデル委譲のentitlementを第三者に開放しておらず、ユーザーからも見えない状態です。

EUではいつSiri AIが使えるようになりますか?

2026年9月16日時点で公式な時期の発表は確認できていません。Appleは6月8日の発表で、DMA適合をめぐる協議が合意に至らず、EUのiOS・iPadOSにおけるSiri AI提供の時期見通しを示せないとしています。ただしEUでもmacOS 27とvisionOS 27ではSiri AIが利用可能です。

日本企業として、今なにか対応が必要ですか?

Siri差し替えそのものへの対応は不要です(まだ開放されていないため)。ただしApp Intentsによる業務アクションの構造化は、どのモデルが裏に入っても効く投資なので、着手する価値があります。EU拠点がある場合は、Siri AI連携機能が地域で使えない前提のフォールバック設計を先に決めておいてください。

要点の整理

2026年9月16日時点の事実関係を、確認できたものだけで並べ直します。

  • iOS 27とmacOS Golden Gateの非公開フレームワークに、外部モデルをSiri拡張として登場させるModel Delegationと、Siriのサーバーモデルごと置き換えるInference Providerの2機構が実装されていることが、コード解析で示された
  • デモではClaudeがSiri拡張としてリマインダー作成やCSV生成を担い、GPT-5.6がSiriのプランナープロンプトとツール定義を受け取ってメール検索・要約・メッセージ送信まで実行した
  • どちらの機構も第三者には開放されていない。現時点で有効なのはApple公式サポートに記載のあるChatGPT拡張のみ
  • Appleの公式サポートUIが「Set Up Extensions」という複数形になっている点は、将来の複数拡張を織り込んだ設計を示唆する
  • 背景にはEUのDMAがあり、AppleはEUのiOS・iPadOS・watchOSでSiri AIを提供していない。macOS 27とvisionOS 27では提供される
  • 実務側で今できるのは、App Intents/アシスタントスキーマによる業務アクションの構造化。これはモデルに依存しない資産になる

この記事で扱っていない範囲——第三者entitlementの開放時期、ユーザーによるモデル選択UIの有無、EUでの提供再開時期——については、2026年9月16日時点でAppleからの公式発表を確認できていません。確認できたら追記します。

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参考・出典

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