AIエージェント入門

Microsoft Agent Framework for Go公開|使い方解説

Microsoft Agent Framework for Go公開|Go言語でAIエージェント開発、Google ADKとの比較

この記事の結論

Microsoft Agent Framework for Goが公開プレビュー開始。インストール方法とコード例、Google ADKとの違いを2026年8月時点の公式情報から解説します。

Microsoft Agent Framework for Goは、2026年7月10日に公開プレビューが始まったGo言語向けのAIエージェント開発SDKだ。本稿執筆時点(2026年8月)で、マルチエージェント・ツール呼び出し・ワークフロー編成まで含む「エージェントフレームワーク」層をGoで公式提供しているのはMicrosoftとGoogleの2社のみで、OpenAIとAnthropicは基本APIクライアント(openai-goanthropic-sdk-go)はGo対応済みなものの、エージェント・オーケストレーション層のSDK(Agents SDK、Claude Agent SDK)はPython・TypeScriptに留まっている。

この記事では、Microsoft Agent Framework for Goの現時点の実装状況を公式ドキュメントとGitHubリポジトリの情報から整理し、インストール方法とコード例、先行するGoogle ADK for Goとの違い、そして「なぜ今Goなのか」という業界の動きまでを一次情報ベースでまとめる。AIエージェント構築ツールの全体像を先に把握したい方は、AIエージェントツール比較完全ガイドもあわせて参照してほしい。

Microsoft Agent Framework for Goとは?2026年8月時点の実装状況

Microsoft Agent Framework(MAF)は、Microsoftの2つのエージェント開発フレームワークだった「AutoGen」(研究志向)と「Semantic Kernel」(エンタープライズ志向)を統合したオープンソースSDKだ。2026年4月2日に.NET版とPython版が1.0 GA(正式版)に到達し、そこから3か月後の2026年7月10日、Go版が公開プレビューとしてMicrosoft for Go Developersブログで発表された。

Go版はMITライセンスで公開されており、リポジトリはgithub.com/microsoft/agent-framework-go。README上で「コアとなるエージェント機能・ツール・ミドルウェア・ワークフロー・可観測性・相互運用性の統合をカバーする」としつつ、「.NET版は現時点でより広範な製品統合と、Go版にまだ実装されていない複数機能を持つ」と明記されており、Go版はまだ発展途上の位置づけであることが公式に示されている。

Microsoft Agent Framework for Goの全体構成図。Goアプリケーションがagent-framework-goライブラリを通じてMicrosoft Foundry・Azure OpenAI・Anthropic・Gemini・A2Aプロトコルの各プロバイダーに接続する構成を示す

まず、3言語版の現状を整理した表が以下だ。

言語 ステータス(2026年8月時点) GA・プレビュー開始日 ライセンス
.NET GA(正式版) 2026年4月2日 MIT
Python GA(正式版) 2026年4月2日 MIT
Go Public Preview(公開プレビュー) 2026年7月10日 MIT

インストールと最小構成のコード例

Go版のインストールは通常のgo getコマンドで完結する。

go get github.com/microsoft/agent-framework-go

公式GitHubリポジトリのREADMEに掲載されている最小構成の例が以下だ。Microsoft Foundryプロバイダーを使い、Azure認証情報でエージェントを初期化してテキストを実行するサンプルになっている(出典: microsoft/agent-framework-go README)。

package main

import (
	"context"
	"os"
	"github.com/Azure/azure-sdk-for-go/sdk/azidentity"
	"github.com/microsoft/agent-framework-go/provider/foundryprovider"
)

func main() {
	token, _ := azidentity.NewDefaultAzureCredential(nil)
	a := foundryprovider.NewAgent(
		os.Getenv("FOUNDRY_PROJECT_ENDPOINT"),
		token,
		foundryprovider.ModelDeployment("gpt-4o-mini"),
		foundryprovider.AgentConfig{
			Instructions: "You are a helpful assistant.",
		},
	)
	result := a.RunText(context.Background(), "Write a haiku about Go concurrency.")
	fmt.Println(result.Collect())
}

本番環境で動かす前には、必ずテスト環境で動作確認してほしい。特に公開プレビュー段階のSDKは「APIがフィードバックに応じて変化する可能性がある」とREADMEに明記されているため、バージョン固定(go.modでのタグ指定)を推奨する。

Go言語対応AIエージェントSDKのタイムライン。2025年11月にGoogle ADK for Goが発表され、2026年4月にMicrosoft Agent Framework 1.0がNET/Pythonで正式版に到達し、2026年7月にMicrosoft Agent Framework for Goの公開プレビューが始まった経緯を時系列で示す

対応プロバイダーとツール・ワークフロー機能

公開プレビュー時点でのGo版が対応するモデル・エージェントプロバイダーは、Microsoft Foundry、Azure OpenAI互換モデル、Anthropic、Gemini、そしてエージェント間連携の標準プロトコルであるA2A(Agent2Agent)の5系統だ。READMEでは「ツール」「MCP」「ミドルウェア」への対応と、モデルが判断して関数を呼び出す「自動ツール呼び出し」機能への言及があるが、具体的な関数呼び出しのコード例はREADME上には掲載されていないため、実装の詳細は公式ドキュメントのサンプルディレクトリを直接参照するのが確実だ。

マルチエージェントのワークフロー機能については、README上で「シーケンシャル(順次実行)」「コンカレント(並行実行)」「グループコラボレーション」「条件付きルーティング」「チェックポイント」「人間によるレビュー」といったパターンをサポートすると説明されている。これらのオーケストレーションパターンをPythonコード付きで詳しく知りたい場合は、Microsoft Agent Framework実装ガイド|orchestration 4選で.NET/Python版の実装パターンを解説しているので参考にしてほしい(Go版も概念設計は共通だが、コードの書き方は言語ごとに異なる)。

Microsoft Agent Frameworkのマルチエージェントワークフローパターン4種の図解。シーケンシャル(順次実行)、コンカレント(並行実行)、グループコラボレーション、条件付きルーティングの流れをそれぞれ矢印付きボックスで示す

まだ使えない機能と.NET/Python版との違い

Go版は公開プレビューという立ち位置のため、.NET/Python版にはあるがGo版にはまだない機能が複数ある。READMEに明記されている制限事項を整理すると以下の通りだ。

機能 .NET / Python(GA) Go(Public Preview)
宣言型エージェント(Declarative agents) あり 未実装
RAG(検索拡張生成) あり 未実装
CodeAct あり(Build 2026で追加) 未実装
機能的ワークフロー(Functional workflows) あり 未実装
Foundryホスト型デプロイ あり 未実装
DevUI あり 未実装
ハンドオフ・オーケストレーション あり 未実装

CodeActやAgent HarnessなどBuild 2026で.NET/Python版に追加された新機能の詳細は、MAF Build 2026新機能|Agent Harness他2つで解説している。Go版がこれらに追いつくかどうかは、READMEにある「採用とフィードバックの拡大に伴い、より広いMAFエコシステムとの統合を進める見込み」という記述を見る限り、コミュニティの反応次第という状況だ。

Google ADK for Goとの比較 — Goでエージェントを書くならどちらか

Go言語でAIエージェントを書きたい場合、実はMicrosoftより先に選択肢を提供していたのがGoogleだ。Google ADK(Agent Development Kit)は2025年11月7日にGo版を発表しており、2026年4月にはPython・Java・TypeScript・Goの4言語で安定版(v1.0)に到達している。Go版ADKの詳細はGoogle ADK v1.0完全解説|4言語安定版で扱っているので、あわせて読んでほしい。

Google ADK for Goのインストールとコード構成は以下のようになる(出典: ADK for Go公式クイックスタート)。

go mod init my-agent/main
go get google.golang.org/adk/v2
go mod tidy
package main

import (
	"google.golang.org/adk/v2/agent"
	"google.golang.org/adk/v2/agent/llmagent"
	"google.golang.org/adk/v2/model/gemini"
	"google.golang.org/adk/v2/tool/geminitool"
)

// llmagent.New() でモデルとツール(Google Search等)を組み込んだ
// エージェントを構成する。具体的な引数構成は公式ドキュメントの
// サンプルを参照(Go 1.25以上、ADK Go v2.0.0以上が必要)。

2つのSDKを並べると、次のような違いが見えてくる。

項目 Microsoft Agent Framework for Go Google ADK for Go
Go版の発表時期 2026年7月10日 2025年11月7日
ステータス Public Preview Stable(v1.0、2026年4月〜)
対応言語(同一フレームワーク内) .NET・Python・Go Python・Java・TypeScript・Go
主要モデルプロバイダー Microsoft Foundry・Azure OpenAI・Anthropic・Gemini Gemini中心(他モデルも利用可能と説明)
エージェント間連携 A2A対応 A2A対応
由来 AutoGen + Semantic Kernelの統合 Google内製フレームワークの外部公開

Microsoft Agent Framework for GoとGoogle ADK for Goの比較図。発表時期(2026年7月10日 vs 2025年11月7日)、ステータス(Public Preview vs Stable)、対応言語数の違いを左右対比で示す

Google ADK for Goの方が約8か月先行しており、すでに安定版として運用実績が積み上がっている。一方でMicrosoft版はAnthropic・Geminiを含む複数プロバイダーへの横断対応を最初から意識した設計になっている点が特徴だ。他のGo対応・マルチプロバイダー対応フレームワークとの比較はAWS Strands・Google ADK・OpenAI Agents SDK比較でも扱っているので、選定時の参考にしてほしい。

なぜ今Goなのか — OpenAI・Anthropicが追随しない理由

興味深いのは、OpenAIとAnthropicがこの流れに追随していない点だ。技術メディアThe New Stackの分析によれば、「2大クラウドベンダーが、業界で最も広く使われているインフラ言語の1つに対して、ファーストパーティのエージェントフレームワークを提供するようになった」一方で、「AnthropicのClaude Agent SDKもOpenAIのAgents SDKも、コミュニティからの要望があるにもかかわらずGoを公式サポートしていない」(The New Stack, 2026年7月)。

ここで正確に整理しておきたいのは、OpenAIもAnthropicも「Goを完全に無視している」わけではないという点だ。両社ともAPIを直接呼び出すための基本Go SDK(OpenAIのopenai-go、Anthropicのanthropic-sdk-go)は公式に提供している。実際に不在なのは、ツール呼び出し・マルチエージェント・ワークフロー編成までを抽象化する「エージェントフレームワーク」層のGo公式サポートだ。Anthropic側のGitHubリポジトリには「Claude Agent SDKにGo/Golangサポートがほしい」というフィーチャーリクエストが起票されており(GitHub Issue #498)、コミュニティ製の非公式Go実装(schlunsen/claude-agent-sdk-goなど)がその隙間を埋めている状態だ。

The New Stackの分析は、この差を「対象ユーザー層の違い」として説明している。OpenAIとAnthropicは、データサイエンティストやアプリ開発者がモデルをすぐに試作できることを重視し、その領域で既に主流のPython・TypeScriptに軸足を置く。一方でMicrosoftとGoogleは、Goが「本拠地」であるバックエンドエンジニアやプラットフォームチームを意識している、という見立てだ。

主要4社のAIエージェント開発SDKにおけるGo言語対応状況マトリクス。Microsoft(エージェントフレームワークGoプレビュー対応)、Google(エージェントフレームワークGo安定版対応)、OpenAI(基本APIのみGo対応、エージェントSDKは非対応)、Anthropic(基本APIのみGo対応、エージェントSDKは非対応)の4象限を示す

導入判断のポイント — Go版を検討すべきなのはどんなチームか

Microsoft Agent Framework for Goは公開プレビューという段階を踏まえると、全ての開発者にすぐ勧められるものではない。判断の目安を整理すると以下のようになる。

  • Go版を検討する価値が高いケース:既存のバックエンドやマイクロサービスがGoで書かれており、その中にエージェント機能を組み込みたいチーム。Kubernetes・クラウドネイティブ基盤を扱うプラットフォームエンジニアで、Pythonランタイムを新たに持ち込みたくない場合。
  • まだ様子見が妥当なケース:RAGや宣言型エージェント、CodeActといった機能が前提の設計をしたいチーム(現時点のGo版では未実装)。プロトタイピング段階で、素早い試行錯誤を優先したいチーム(.NET/Python版の方がサンプル・ドキュメントが充実している)。
  • Google ADK for Goと迷う場合:安定版としての実績を優先するならADK for Go、Anthropic・Geminiを含む複数プロバイダーの横断利用を見据えるならMicrosoft Agent Framework for Go、というのが2026年8月時点でのおおまかな切り分けになる。

よくある質問

Q. Microsoft Agent Framework for Goは本番環境で使えますか?

A. 2026年8月時点では公開プレビューであり、READMEにも「APIはフィードバックに応じて進化する可能性がある」と明記されている。本番投入は自己責任の判断になるため、バージョンを固定した上でのテスト環境での検証を挟むことを推奨する。

Q. Go版で書いたエージェントは.NET版やPython版と互換性がありますか?

A. 概念設計(プロバイダー、ツール、ワークフローパターンの考え方)は共通だが、コードそのものはGo特有の書き方になる。またRAG・CodeAct・宣言型エージェントなどGo版に未実装の機能もあるため、完全な機能互換ではない。

Q. Go版からAnthropicやOpenAIのモデルを呼び出せますか?

A. READMEによれば公開プレビュー時点でMicrosoft Foundry、Azure OpenAI互換モデル、Anthropic、Geminiの4系統に対応しているとされる。ただし個別モデルの対応状況やAPIキーの設定方法は変わる可能性があるため、利用前に公式ドキュメントで最新情報を確認してほしい。

Q. Google ADK for GoとMicrosoft Agent Framework for Goはどちらを選ぶべきですか?

A. 安定版としての実績(2025年11月発表・2026年4月にv1.0安定版)を優先するならGoogle ADK for Go、Anthropic・Geminiを含む複数プロバイダーを横断的に扱いたい、あるいはSemantic Kernel/AutoGenの資産を引き継ぎたいならMicrosoft Agent Framework for Go、という判断軸になる。

Q. 日本語ドキュメントはありますか?

A. 2026年8月時点で、Microsoft Agent Framework for Goの公式ドキュメントは英語のみが確認できている。日本語の解説記事はQiitaなど個人ブログに一部出始めている段階で、公式の日本語ドキュメントの提供時期については確認できていない。

まとめ

Microsoft Agent Framework for Goは、AutoGenとSemantic Kernelを統合したMAFが.NET/Python版のGA(2026年4月)から3か月を経て届けたGo版だ。Google ADK for Go(2025年11月発表・2026年4月安定版)に約8か月遅れる形だが、Anthropic・Geminiを含む複数プロバイダー対応を最初から視野に入れている点、そしてOpenAI・Anthropicがエージェント層でGoに追随していない中での参入という点で、業界的な意味合いは小さくない。

  1. 今日やることgo get github.com/microsoft/agent-framework-goでインストールし、README記載のFoundryプロバイダーのサンプルを手元で動かしてみる。
  2. 今週中:自チームのGoバックエンドにエージェント機能を組み込む必要があるか、RAGやCodeActなど現時点のGo版にない機能が前提になっていないかを棚卸しする。
  3. 今月中:Google ADK for Goとの比較検討を行い、プロバイダー対応の幅(複数LLM横断か、Gemini中心か)を軸に採用判断を下す。

参考・出典

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この記事はAIgent Lab編集部がお届けしました。

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