結論:サカナAI(Sakana AI)は、2023年7月に元Google Brain出身のDavid Ha氏らが東京で創業した日本のAIスタートアップです。「大量の計算資源に依存しない持続可能なAI開発」を掲げ、既存モデルを進化的アルゴリズムで組み合わせる独自研究から出発しました。2026年8月時点では、日本語特化LLM「Sakana Namazu」とマルチエージェント統合API「Sakana Fugu」を商用提供しており、企業はOpenAI互換APIまたは月額サブスクリプションで利用できます。
「サカナAI」「Sakana AI」の検索が直近で急増しています。本記事では、当メディアで既に公開している技術特化記事(Namazuのエージェント開発、Doc-to-LoRAの仕組み)とは切り分けて、「サカナAIとは何をしている会社なのか」「企業として使えるのか」を軸に、会社概要・資金調達・モデルラインナップ・最新動向まで2026年8月時点の情報でまとめて整理します。
サカナAI(Sakana AI)とは何か — 会社概要と創業チーム
サカナAI株式会社(英語表記: Sakana AI)は、2023年7月に東京で設立された生成AIの基盤モデル開発企業です。詳細な会社情報は公式サイトで公開されています。社名の由来は公式に説明されていませんが、複数の小さなモデル(魚の群れ)が協調して大きな知性を生み出すという同社の研究思想を象徴していると受け取られています。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 設立 | 2023年7月 |
| 本社 | 東京 |
| 共同創業者 | David Ha(CEO)、Llion Jones(CTO)、伊藤錬(COO) |
| 事業領域 | 生成AI基盤モデルの研究開発・API提供 |
| 上場区分 | 未上場(2026年8月時点でIPO時期の公式発表は確認できていない) |
創業メンバーの経歴が、この会社の技術的な信頼性の裏付けになっています。David Ha氏は元Google Brain東京拠点の研究者、Llion Jones氏は2017年にTransformerアーキテクチャを提案した論文「Attention Is All You Need」の共著者です。現在のGPT・Claude・Geminiなど主要LLMの基盤技術に関わった人物が、日本発のAIスタートアップを率いている点が同社の特徴です。伊藤錬氏(COO)は外務省出身で、事業開発・対外折衝を統括しています。
創業理念として掲げるのは「Nature-Inspired Intelligence(自然にインスパイアされた知能)」。ゼロから巨大モデルを事前学習するのではなく、既存のオープンウェイトモデルを進化的アルゴリズムで組み合わせたり、少ない計算資源でファインチューニングしたりする手法に強みを持っています。
資金調達と株主構成 — なぜNTT・NVIDIAが名を連ねるのか

サカナAIは創業からわずか1年でユニコーン(評価額10億ドル超)に到達し、その後も資金調達を重ねています。2024年1月には、NTTおよびNTTドコモ・ベンチャーズが主導する形で国内投資家・海外VCから約45億円を調達したと報じられ、NTTグループが国内投資家の中で筆頭株主的な位置付けになったと報じられています。NTTとは「AIコンステレーション」と呼ばれる低消費電力AI基盤技術の共同開発でも連携しています。
2024年にはさらに三菱UFJフィナンシャル・グループ、三井住友銀行、みずほ銀行、伊藤忠商事、KDDI、野村證券、NVIDIAなどが参加する大型ラウンドが報じられました(報道ベースの金額のため、正確な内訳は各社発表を参照してください)。直近では2025年11月17日にシリーズBラウンドで約200億円を調達したことが複数の主要メディアで報じられ、企業価値は約4,000億円、累計調達額は約520億円に達したとされています。このラウンドにはMUFG、Khosla Ventures、Factorial Funds、四国電力グループのSTNetなどが参加しました(ITmedia AI+の報道ベース)。
日本のメガバンク・通信キャリア・商社が軒並み出資していることは、サカナAIが単なるAIベンチャーではなく「国産AI基盤」としての戦略的な位置付けを与えられていることを示しています。
主要モデルと研究 — 進化的モデルマージからFugu・Namazuへ

サカナAIの技術的な出発点は、2024年3月に発表した「進化的モデルマージ(Evolutionary Model Merge)」です。複数の既存オープンモデルを進化的アルゴリズムで自動的に組み合わせ、新しい基盤モデルを生成する手法で、この成果としてEvoLLM-JP(日本語+数学)、EvoVLM-JP(日本語+画像)、EvoSDXL-JP(日本語対応の高速画像生成)を公開しています。
その後も少ない計算資源でモデルを特化させる研究を継続しており、2025年2月には自動生成したGPU最適化コードの速度改善を主張した「AI CUDA Engineer」について、外部研究者から実際には高速化していないケースがあると指摘を受け(当時の報道)、該当ページを取り下げて論文と評価プロセスを見直すという経緯もありました。当メディアでは、この系譜の技術として2026年2月に発表された「Doc-to-LoRA」を別記事で詳しく解説しています。
日本語特化モデル「Sakana Namazu」は2026年3月24日にα版として発表され、DeepSeek V3.1をベースに日本語の政治・外交的な話題での回答拒否率を約72%からほぼゼロまで下げたことで注目を集めました(技術的な背景はNamazuの開発手法を解説した記事を参照)。2026年8月3日には、Moonshot AIのオープンウェイトモデルKimi K2.6をベースにした新世代Namazuとして、企業向けAPI提供が正式に始まりました。
もう一つの主力製品が「Sakana Fugu」です。世界最高水準の複数モデルを動的にオーケストレーションし、単一のAPIとして提供するマルチエージェント基盤で、ICLR 2026に採択された2本の論文(Trinity: Thinker/Worker/Verifierの役割分担、Conductor: 強化学習によるモデル選択の協調制御)が土台になっています。Fugu・Fugu Ultra・Fugu Cyber(サイバーセキュリティ特化)の3モデルがラインナップされ、2026年8月10日には指揮者(Conductor)モデルをGemma 4ベースで再学習しても同等のオーケストレーション性能が出ることを確認したと発表されました。なお、当メディアのオープンウェイトのモデルアンサンブル製品を検証した記事でも、比較対象としてSakana Fuguが言及されています。
企業はサカナAIを使えるのか — 提供形態と料金
Sakana FuguはOpenAI互換のAPIとして提供されており、既存のOpenAI SDKをそのまま使ってbase_urlを差し替えるだけで呼び出せます(公式スタートガイド)。
from openai import OpenAI
client = OpenAI(
base_url="https://api.sakana.ai/v1",
api_key="YOUR_API_KEY"
)
response = client.responses.create(
model="fugu-ultra",
input="質問内容",
timeout=120.0,
)

料金体系は「月額サブスクリプション」と「従量課金(トークン単位)」の2種類が用意されています。
| プラン | 月額 | 想定用途 |
|---|---|---|
| Standard | $20 | 軽量な日常利用 |
| Pro | $100 | 週数回の集中的な利用(Standardの10倍利用量) |
| Max | $200 | 長時間の高負荷ワークロード(Standardの20倍利用量) |
本番ワークロード向けには従量課金プランもあり、Fugu Ultraは標準時で入力$5/M・出力$30/M・キャッシュ入力$0.50/M、コンテキストが272Kトークンを超えると入力$10/M・出力$45/M・キャッシュ入力$1.00/Mに切り替わります(価格は執筆時点の公式発表ベース、変更される可能性があります)。Fugu Cyberはエンタープライズ向けとして営業チームへの問い合わせが必要です。
日本語特化のSakana Namazu APIは月額サブスクリプションを持たない純粋な従量課金制で提供されています。一点注意が必要なのは、Namazuは2026年8月時点でEU/EEA・英国・スイスでは提供されていないことです。データの取り扱い地域を確認したうえで導入を検討する必要があります。企業単位での導入・カスタム契約については、公式サイトの問い合わせフォームから相談する形になっています。
日本のAI業界での位置づけ

OpenAIやAnthropic、Googleが巨大な計算資源を投じて基盤モデルを事前学習するのに対し、サカナAIは「オープンウェイトモデルを進化的に組み合わせる・ファインチューニングする・オーケストレーションする」というアプローチを取っています。海外で「Sovereign AI(自国主権AI)」戦略と呼ばれる潮流の中で、限られた計算資源でも国産のAI基盤を持てることを示すロールモデルとして注目されている企業です。
実務での活用も進んでいます。2026年8月5日には大和証券グループとの共同AIプロジェクトが、ウェルスマネジメント業務支援AIの開発について本格展開フェーズへ移行したと発表されました。金融など規制の厳しい業界での実証が積み上がっている点は、単なる研究段階のスタートアップから一段進んだ状況を示しています。
2026年8月の最新動向 — 検索急増の背景
「サカナAI」「Sakana AI」の検索が直近で伸びている直接的な理由をGoogleが公式に説明しているわけではありません。ただし、同社の公式ブログを確認すると、2026年8月に入って以下の発表が短期間に集中していることが分かります。
| 日付 | 発表内容 |
|---|---|
| 8月3日 | Sakana Namazu APIの提供開始(新世代・Kimi K2.6ベース) |
| 8月5日 | 大和証券グループとの共同AIプロジェクトが本格展開フェーズへ |
| 8月10日 | Sakana FuguのConductorモデルをGemma 4ベースで検証 |
| 8月13日 | Sakana Chatで「Sakana Fugu」と新世代「Sakana Namazu」が利用可能に |
製品の商用化・提携・大企業とのプロジェクトが立て続けに発表されたこの2週間のニュースクラスターが、検索需要の押し上げに寄与した可能性が高いと考えられます。ただし、これは公式発表の日付から導いた推測であり、Google側の検索意図の内訳を直接裏付ける一次情報ではない点には留意してください。
よくある質問
Q. サカナAIはどこの国の会社ですか?
日本の会社です。2023年7月に東京で設立されました。
Q. サカナAIの創業者は誰ですか?
元Google Brain研究者のDavid Ha氏、Transformerの論文「Attention Is All You Need」の共著者Llion Jones氏、外務省出身の伊藤錬氏の3名が共同創業者です。
Q. サカナAIは上場していますか?株は購入できますか?
2026年8月時点で未上場です。IPOの具体的な時期について公式な発表は確認できていません。未上場のため、証券取引所を通じた一般投資家による直接の株式購入はできません。
Q. サカナAIはなぜ炎上したことがあるのですか?
2025年2月に発表した「AI CUDA Engineer」というGPUコード自動最適化技術について、主張していた速度改善が外部の検証で再現できないケースがあると指摘を受けたことがあります。サカナAIは該当ページを取り下げ、評価プロセスを見直すと発表しました。現在の商用製品(Fugu・Namazu)とは別の研究発表に関する出来事です。
Q. サカナAIの料金はいくらですか?
Sakana FuguはStandard(月額$20)・Pro(月額$100)・Max(月額$200)のサブスクリプションと、トークン単位の従量課金の2種類があります。Namazuは純粋な従量課金制です。詳しくは本記事の「企業はサカナAIを使えるのか」の章を参照してください。
Q. サカナAIの何がすごいのですか?
ゼロから巨大モデルを事前学習する主要プレイヤーとは異なり、既存のオープンウェイトモデルを進化的アルゴリズムで組み合わせたり、少ない計算資源でファインチューニングやオーケストレーションを行う手法で成果を出している点です。日本のメガバンク・通信キャリア・NVIDIAなど幅広い出資者を集め、金融機関との実証プロジェクトも動いています。
まとめ — 会社の全体像を押さえたら、次は技術の中身へ
サカナAIは、日本語処理に強い「Sakana Namazu」と、複数モデルを統合する「Sakana Fugu」の2本柱で企業向けAPI提供を進める、東京発のAI企業です。NTT・NVIDIA・メガバンクなど国内外の有力企業から資金と信頼を集めながら、2026年8月も商用化の発表が続いています。
会社の全体像を押さえたら、次は個別技術の中身をチェックしてみてください。
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