AIエージェント入門

Claude Coworkとは|料金・使い方・Claude Codeとの違い

Claude Coworkとは|料金・使い方・Claude Codeとの違い

この記事の結論

Claude Coworkは有料プラン限定のAIエージェント。料金・できること・使い方・Claude Codeとの違い・チーム導入の管理者設定を2026年9月時点の公式情報でまとめました。

Claude Coworkは、Pro・Max・Team・Enterpriseの有料プランだけで使えるエージェントです。無料プランには含まれません。Claude Codeと同じエージェント基盤を、ターミナルを開かずに文書・表計算・リサーチ・ファイル整理へ振り向けたもので、2026年4月9日にmacOSとWindowsのデスクトップアプリで正式提供が始まり、7月7日にWeb・モバイル(ベータ)へ広がりました。この記事は2026年9月時点のAnthropic公式ヘルプセンター・料金ページ・リリースノートだけを根拠に、料金、対応環境、Claude Codeとの使い分け、権限モード、チーム導入時に管理者が決める設定までを一本にまとめたものです。

Claude Coworkとは|Claude Codeと同じ基盤を「ターミナルなし」で使う

公式ヘルプセンターの説明はかなり短く、そして明快です。「Claude Coworkは、Claude Codeを支えるのと同じエージェント アーキテクチャを使用しており、ターミナルは不要です」。プロンプトに1問1答で返すのではなく、Claudeが依頼を分析し、計画を立て、サブタスクに割り、隔離環境で実行して、完成物を返してくるところまでを引き受けます(出典: Claude Coworkを始める(Anthropicヘルプセンター日本語版))。

ここを取り違えると導入設計を丸ごと間違えます。Coworkは「チーム開発用のペアプログラミング環境」ではありません。狙っているのはコーディング以外の知識作業、つまり資料づくり・データ整理・調査のまとめといった、これまで人が手で往復していた仕事です。リリースノートの初出(2026年1月12日)でも、Coworkは「Claude Codeのエージェント能力を、コーディング以外の知識作業のためにClaudeデスクトップアプリへ持ち込むもの」と説明されています。

もうひとつの軸が実行場所です。公式のアーキテクチャ解説によると、Coworkのセッションは既定でクラウド側、つまりAnthropicのサーバー上の隔離サンドボックスで動きます。だから「ノートPCを閉じても作業が続く」「別のデバイスから同じセッションを開ける」という挙動になります。ローカルのファイルやブラウザが必要なときだけ、手元のClaude Desktopアプリ経由でそこへ手を伸ばす構造です。

Claude CodeとClaude Coworkの違い|どちらを選ぶかの判断基準

「どっちを使えばいいのか」は検索でも一番多い迷いどころです。公式の位置づけと、それぞれが必要とする前提条件を並べると判断しやすくなります。

比較軸 Claude Code Claude Cowork
想定ユーザー 開発者(ターミナル・IDEを日常的に使う) コーディングを主業務にしない知識労働者
入口 ターミナル/IDE拡張 Claudeのメッセージボックスで「Cowork」を選ぶ
主戦場 コードの生成・改修・レビュー・デバッグ ファイル整理、文書処理、リサーチ統合、Excel/PowerPoint生成、ブラウザ操作
プラン 料金ページの比較表ではFreeが対象外、Pro以上で利用可 同じくFreeが対象外。有料プラン(Pro/Max/Team/Enterprise)のみ
サブエージェント あり あり(プラグイン同梱のサブエージェントはCowork専用)
プロジェクト機能 2026年9月時点ではCoworkプロジェクト非対応(今後対応予定と公式に記載) ファイル・コンテキスト・指示・メモリを持つワークスペース

実務的な線引きはこうなります。リポジトリを触る、テストを回す、差分をレビューする作業はClaude Code。フォルダの中身を仕分ける、議事録から資料を起こす、複数ソースを1本のレポートにまとめる作業はCowork。両方に同じスキル資産を効かせたいなら、スキルとプラグインの設計を先に決めるのが近道です(Claude Code Skillsの作り方はこちらで解説しています)。

ChatGPT側の同種プロダクトと横並びで比べたい場合は、ChatGPT Work・Codex・Claude Coworkの比較記事もあわせて読むと守備範囲の差がはっきりします。

料金とプラン|無料プランでは使えない

先に結論だけ書くと、Coworkを触るには月額課金が要ります。公式料金ページのプラン比較表で「Claude Cowork」の行を見ると、Freeだけがダッシュ(対象外)で、Pro・Max 5x・Max 20xにはチェックが入っています。Proプランのカードにも「Everything in Free, plus:」の並びの中に「Includes Claude Cowork」が明記されています。

プラン 公式表示価格(2026年9月時点・米ドル) Cowork
Free $0 対象外
Pro 年払い $17/月(前払い $200)、月払い $20 利用可
Max 5x/Max 20x $100/月から 利用可
Team(Standard席) 年払い $20/席・月、月払い $25 利用可
Team(Premium席) 年払い $100/席・月、月払い $125 利用可
Enterprise 席課金+モデルとタスクに応じた従量 利用可(管理者設定に従う)

プランを決めるときに効いてくるのが消費量です。ヘルプセンターは「Coworkでタスクを実行すると、Claudeとのチャットよりも使用割り当てが多く消費されます」と明言しており、理由も「複雑なマルチステップタスクは計算集約的で、実行に多くのトークンが必要だから」と書かれています。さらに後述の「自動」モードは安全チェックを挟むぶん、他のモードより使用制限を多く消費します。Proで試して足りなくなったらMaxへ、という順に上げるのが素直です。

公式が挙げている使用量の抑え方は3つです。関連する作業を1セッションにまとめる、ファイルアクセスや長時間実行が要らない用件は通常のチャットで済ませる、設定>使用状況で自分の消費を見る。導入研修でも、この3点を最初に共有しておくと「初日に枠を使い切った」という事故がかなり減ります。

対応環境と始め方|Windows・macOS・Web・スマホ・Chrome

プラットフォームごとに条件が違うので、ここは公式の記述をそのまま押さえておくのが安全です。

利用面 対応プラン(2026年9月時点)
Claude Desktop for macOS すべての有料プラン
Claude Desktop for Windows すべての有料プラン(最新版のClaude for Windowsが必要)
Web(claude.ai) Pro・Max・Team。Enterpriseは管理者が有効にした場合
モバイル(iOS/Android) Pro・Max・Team。Enterpriseは管理者が有効にした場合
Claude in Chrome サイドパネル Max・Teamで利用可、Proへ順次展開中。Enterpriseは管理者次第

Web版とモバイル版は公式にベータと書かれています。「とりあえずスマホだけで完結させたい」という期待には、まだ全面的には応えられません。ローカルファイルの読み書き、ブラウザ操作、コンピュータ操作を伴うタスクは、その端末でClaude Desktopが開いていて接続されている必要があると明記されています。デスクトップアプリを閉じていると、クラウド側のセッションからは端末に手が届きません。

始め方そのものは短いです。公式手順は次の4ステップです。

  1. claude.ai、Claude Desktop、モバイルアプリのいずれかでClaudeを開く
  2. メッセージボックスで「Cowork」を選ぶ(通常の会話に戻すときは「Chat」)
  3. やってほしいタスクを説明する
  4. Claudeが示したアプローチを確認してから実行させる

Chromeサイドパネルの場合はパネルを開いた時点でCoworkセッションが始まります。要件として明示されているのは、有料サブスクリプション、ローカル系機能を使うならデスクトップアプリ、そしてセッション中ずっと有効なインターネット接続の3つです。

最初のセッションを開く前に、動き方の癖を1回で揃えておくと後が楽になります。設定>Coworkの「グローバル指示」は、全セッションに効く常設の指示欄です。記入例としては次のような粒度が扱いやすいでしょう。

# グローバル指示の記入例(設定 > Cowork > グローバル指示)
- 出力言語は日本語。社外向け文書は敬体、社内メモは簡潔な常体。
- ファイルを新規作成するときは、作業フォルダ直下に日付_内容.拡張子 で置く。
- 既存ファイルを上書きする前に、変更点の要約を先に出す。
- 数値を書くときは出典(ファイル名またはURL)を必ず併記する。
- 判断に迷ったら勝手に決めず、選択肢を2つ出して確認する。

フォルダ単位の癖はグローバル指示ではなく「フォルダ指示」で持たせます。デスクトップ上のローカルフォルダを選ぶと、そのフォルダ固有のコンテキストがCoworkに足される仕組みで、セッション中にClaudeが自動更新することもあると公式に書かれています。

Claude Coworkでできること|公式が挙げる機能

ヘルプセンターの「主な機能」に並んでいる項目を、実務での使い所と一緒に整理します。ここに書かれていないことは、現時点では期待しないほうが安全です。

  • どこからでも作業:クラウド上のセッションがアカウントに紐づくため、片方の端末で始めて別の端末から操作し、完成物をまた別の端末で受け取れます。
  • あなたなしで続く作業:ノートPCを閉じても、席を立ってもClaude側の作業が止まりません。
  • チャットとの共有メモリ:2026年8月25日のリリースノートで、メモリがチャットとCoworkをまたいで働くようになったと告知されました。Claudeが覚えている内容は設定>メモリの「Topics」に一覧されます。
  • 直接ローカルファイルアクセス:デスクトップでは、手動アップロード・ダウンロードなしで接続フォルダ内を読み書きします。
  • サブエージェント調整:大きな作業を分割し、並列のワークストリームとして進めます。
  • 実用的な成果物:動く数式入りのExcel、PowerPoint、整形済みドキュメントを生成します。「直したらそのまま使えるCSV」ではなく、VLOOKUPや条件付き書式、複数タブを含むファイルを作る、と公式のユースケース例に書かれています。
  • ドラフトのその場編集:Markdownのドラフトで直したい箇所を選び「Edit with Claude」で指示すると、その場所を直します。
  • 長時間実行:会話タイムアウトやコンテキスト制限で中断されずに走ります。
  • スケジュール済みタスク:クラウドで走るため、端末がオンラインである必要がありません。
  • プロジェクト:関連タスクを独立ワークスペースに束ね、ファイル・コンテキスト・指示・メモリを個別に持たせます。
  • ブラウザアクション:サイトを開き、読み、クリックし、入力し、フォームを埋めます。

ユースケース例として公式が挙げているのは、Downloadsフォルダを種類と日付で整理する、フォルダに落とした領収書から経費報告書を作る、YYYY-MM-DD形式で一括リネームする、会議メモやインタビューからテーマとアクションアイテムを抽出する、データファイルの外れ値検出やクロス集計を行う、といった具体度です。「AIに何でも任せられる」ではなく、ファイルアクセスと長い実行時間が効く仕事に寄せて設計されていると読むのが正確です。

権限モード3種|「手動」「自動」「スキップ」の使い分け

Coworkの安全設計の中心が権限モードです。日本語版ヘルプでは「手動」「自動」「スキップ」の3つで、チャットボックスのモードセレクターからいつでも切り替えられます。コネクターツール側の設定(常に許可/承認が必要/ブロック)との組み合わせで挙動が決まります。

モード コネクター「常に許可」 コネクター「承認が必要」 コネクター「ブロック」
手動 承認済み 許可を求める 拒否
自動 読み取り専用ツールは承認済み/書き込み・削除はClaudeが判断 Claudeが判断 拒否
スキップ 承認済み 承認済み 拒否

「自動」は放置モードではありません。公式の説明では、Claudeが各アクションの安全性をレビューし(データ流出やプロンプトインジェクションの確認を含む)、危険と判断したものを自動的にブロックします。ブロックが続く場合は、各ステップの許可を求める挙動へ戻ります。この安全チェックは外部のセキュリティ専門家と組んだ事前テストを経ていると明記されています。ただし公式自身が「完璧な防御はなく、どのモードもあなたの判断に代わるものではありません」と書いており、お金・自分名義の送信・重要ファイルが絡む作業では手動へ戻すことを勧めています。

「スキップ」は以前「確認なしで実行」と呼ばれていたモードで、何も自動チェックしません。タスクに関わるアクション・コネクター・ファイル・アプリを全面的に信頼できる場合だけ、と条件が付いています。チーム展開の初期は手動、慣れたら自動、スキップは原則使わないという運用ルールにしておくのが無難です。

スキル・プラグイン・コネクタ|役割ごとに動きを変える

Coworkの拡張は3層で理解すると迷いません。公式のプラグイン解説では、プラグインが「スキル・コネクター・サブエージェント」を1つのパッケージにまとめたものと定義されています。

  • スキル:「/」や「+」ボタンから呼び出す再利用可能な能力。料金ページの比較表では全プランで利用可の行になっています。
  • コネクター:Google Drive、Gmail、Slack、DocuSignなど外部サービスへの接続。使えるコネクターはチャットボックスの「+」メニュー、またはカスタマイズ>コネクターで制御します。
  • サブエージェント:専門役の分身。フックとサブエージェントはCoworkでのみ動作し、他の面ではグレーアウトします。

プラグインは全有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)で使えます。マーケットプレイスと管理者向けコントロールは2026年2月24日に同時投入され、営業・財務・法務・マーケティング・人事・エンジニアリングなど職種別のライブラリが用意されています。Team・Enterpriseでは管理者が組織へ配ることができ、Enterpriseでスキャンを有効にしていれば、インストールや更新のたびに第三者製スキル・プラグインの悪性コンテンツ検査が走ります(この検査は2026年8月6日のリリースノートで告知されました)。

スキルとMCPを1つの標準へ寄せる動きそのものを追いたい場合は、Agent Plugins 1.0の解説Agent Skills完全ガイドが地図になります。

ブラウザ操作とコンピュータ操作|どこまで自動化できるか

Webを触る手段は2系統あります。ひとつはClaude Desktopアプリに内蔵されたブラウザで、Coworkのサイドパネル内に開きます。ユーザーのブラウザとは独立していて、明示的にインポートしない限りログイン情報にも触りません。もうひとつがClaude in Chromeで、こちらは利用者自身のChromeを使うため、いま開いているページやログイン状態をそのまま使います。両方が有効なときは設定>Coworkで優先するほうを選べます。

組織側の既定値には注意が必要です。公式の管理者向け記事によると、内蔵ブラウザはTeamプランでは展開に合わせて既定オン、Enterpriseプランでは提供開始時点は既定オフで、2026年9月10日から既定オンに切り替わります(管理者がオフにしていない場合)。Claude in Chromeも同様に、Enterpriseでは9月10日から既定オンへ移行すると案内されています。「知らないうちに有効化されていた」を避けたい組織は、この日付までにOrganization settings>Coworkを確認しておくべきです。

さらに踏み込んだコンピュータ操作(computer use)は別枠です。公式記事では「Pro・Maxプランのベータ」と書かれており、Team・Enterpriseは対象外。設定>一般で「Enable computer use」をオンにして使います。そして最も重要な一文がこれです。「コンピュータ操作にはClaudeとアプリケーションの間にサンドボックスがありません」。銀行・医療・暗号資産などのアプリへはアクセスさせない、機微なファイルは閉じてから使う、という公式の警告はそのまま社内ルールに落としたほうがいいでしょう。

ブラウザ自動化の設計そのものを比較検討したい人は、Claude Code×Chrome連携の記事も判断材料になります。

定期実行タスクとプロジェクト|放っておいても回る形にする

Coworkが単発の便利機能で終わらないのは、スケジュールとプロジェクトがあるからです。公式のスケジュール解説によれば、定期タスクは全有料プラン(Pro・Max・Team・Enterprise)で使え、クラウドで走るためPCがスリープ中でもアプリを閉じていても実行されます。

# 定期タスクの作り方(2通り)
1) 任意のCoworkタスク内で  /schedule  と入力する
2) 左サイドバーの「スケジュール済み」→「New task」

# 手動設定時に指定する項目
- タスク名
- プロンプト(実行してほしい内容)
- 承認モード(手動 / 自動 / スキップ)
- 頻度: 毎時 / 毎日 / 毎週 / 平日のみ / 手動実行
- 任意: モデル、フォルダ

制約もはっきりしています。ローカルのファイルやアプリを必要とするタスクはローカルでしか走りません。またスケジュールタスクはコンピュータ上のフォルダに紐づけられません。「毎朝ローカルの共有フォルダを棚卸しさせる」といった設計は、そのままでは成立しないということです。安全面では、公式が「機微なファイルにアクセスする、あなたに代わってメッセージを送る、購入するタスクはスケジュールしないこと」と明記しています。まず低リスクな処理から始め、スケジュール一覧から過去の実行を定期的に見返す運用が前提です。

プロジェクトは、関連タスクを束ねるワークスペースです。公式解説では、指示・コンテキスト(ローカルフォルダ、リンクしたチャットプロジェクト、URL)・メモリ・スケジュール済みタスクを持つと説明されています。メモリはプロジェクト単位で、あるプロジェクトで学んだことは別プロジェクトへは持ち越されません。作成方法は、ゼロから作る/既存のClaudeプロジェクトから取り込む/手元のフォルダをそのまま紐づける、の3通り。制約として、デスクトップ保存でクラウド同期がなく、Claude Codeでは使えず、Team・Enterpriseのメンバー間で共有もできません(Claude Code側の対応は今後予定と記載)。

定期実行の考え方をCLI側と比べたい場合は、Claude Codeのスケジュールタスク解説が対になります。

チーム導入の設計|管理者が最初に決める設定

ここが競合記事でいちばん薄くなる領域です。Team・Enterprise向けの公式記事を読むと、決めるべき論点が具体的に並んでいます。

設定項目 場所 既定値(2026年9月時点)
Cowork自体の有効化 Organization settings > Cowork オン(オーナーがオフにできる)
クラウドでのセッション実行 同上(別トグル) Teamはオン/Enterpriseはオフ。Enterpriseはオーナーが有効化のうえカスタムロールで付与
内蔵ブラウザ Organization settings > Cowork Teamはオン/Enterpriseは提供開始時オフ、2026年9月10日から既定オン
「自動承認」モードの可否 Allow “Automatically approve” mode オン
コネクターツールの「常に許可」 Allow “Always allow” for connector tools オフ
Web検索 Organization settings > Capabilities オーナーがオフにできる

粒度の差も押さえておくべきです。Teamプランには細かい制御がなく、Coworkは組織全体で「全員に出すか、全員に出さないか」の二択になります。Enterpriseはグループとカスタムロールで部署単位の制御ができ、「クラウドでCoworkを実行する」権限を特定のユーザーやチームだけに与えられます。この役割ベースのアクセス制御は、2026年4月9日の一般提供と同時に投入されました(Anthropic公式ブログ「Making Claude Cowork ready for enterprise」)。同じ発表でグループ単位の予算上限、管理ダッシュボードとAnalytics APIでの利用状況可視化、ツール呼び出し・コネクター利用・ファイル操作・スキル起動を出力するOpenTelemetry対応も揃いました。

監査面では、Claude・Claude Desktop・Claude MobileでのCoworkセッションがCompliance APIで捕捉されます。ローカルセッションは扱いが違い、会話履歴が利用者の端末に保存されるため、Anthropicの標準的なデータ保持ポリシーの対象外で、管理者が中央で管理・エクスポートすることはできないと明記されています(Enterprise管理者はCompliance API経由でセッション内容を取得できるものの、ローカルセッション用の削除エンドポイントは未提供)。ログの扱いを揃えたい組織は、クラウド実行を前提に設計するほうが管理しやすいということです。

端末側の締め付けはMDMで行います。公式のアーキテクチャ解説に、設定キーが2つだけ挙げられています。

# MDMで配る端末レベル設定(組織設定ではなくMDM側)
isLocalDevMcpEnabled   = false   # プラグイン同梱・ローカル構成のMCPサーバーを無効化
isDesktopExtensionEnabled = false   # MCPB / DXT 拡張サーバーの実行をブロック

# 補足: これらはClaude Desktopアプリを支配するため、
#       ローカルセッションと、クラウドセッションがデスクトップアプリ経由で
#       触るものの両方に効く。ローカルMCPサーバーはクラウドセッションでは動かない。

アーキテクチャとセキュリティ|クラウド実行とローカル実行の違い

クラウドセッションの分離設計は、公式に列挙されている性質だけでも十分に読み解けます。セッションごとに専用サンドボックスが作られ、終了時に破棄され、サンドボックス同士や組織間で状態を共有しません。既定では社内ネットワークへ到達できず、プライベート/内部/リンクローカル/クラウドメタデータのアドレスにも届きません。外向き通信はサンドボックスが再設定も回避もできない必須プロキシを通り、許可リストの宛先だけに到達します。保持する資格情報は数時間で失効するセッション限定トークンだけで、コネクターの認可トークンはサンドボックスに入らず、コネクター呼び出しはサーバー側で行われます。

ローカルセッションは構造が違います。エージェントループは端末上でネイティブに動き、Claudeが書いたシェルコマンドやコードは専用のLinux VMで実行されます。分離はプラットフォームのハイパーバイザー(macOSはApple Virtualization.framework、WindowsはHyper-V)が担い、VM自身が外向き通信のフィルタリング、システムコール制限、セッションごとのユーザー分離を持ちます。

そのうえで、「Coworkを安全に使う」が挙げるリスクの本丸はプロンプトインジェクションです。公式の定義は「Claudeが正当なタスクの一部として読む外部コンテンツに、悪意ある指示が埋め込まれること」。攻撃が成立する条件も明示されていて、信頼境界の外の情報にClaudeが到達できること、かつ利用者を害するアクションを実行できること、の2つが揃ったときです。

公式が挙げる対策は地味ですが有効です。財務記録のような機微文書へのアクセスは避ける、広いアクセスではなく専用の作業フォルダを作る、重要ファイルのバックアップを取る、すべてのコマンドを検証するのではなく想定外のパターンを見張る、怪しいと感じたら即座にタスクを止める、リスクに応じて承認モードを合わせる。加えて、削除保護としてファイルの完全削除前に必ず明示的な許可を求める挙動が組み込まれています。「あなたはClaudeが取ったすべてのアクションについて責任を負います」という一文も、そのまま社内規程に書き写す価値があります。

MCP経由の攻撃面そのものを設計で潰したい場合は、MCP Tool Poisoningと間接プロンプトインジェクション対策の記事が具体的な防御層の整理になります。

公開されている活用例

事例区分: 公開事例
以下はAnthropicが公式ブログで公表している内容です(出典: Making Claude Cowork ready for enterprise, 2026年4月9日)。

  • Zapier:Coworkを自社データベース・Slack・Jiraへつなぎ、エンジニアリング上のボトルネックを浮かび上がらせる用途。
  • Jamf:人事評価を、ガイド付きの自己評価プロセスへ作り替えた。
  • Airtree:Drive・Slack・競合ニュースから材料を集める取締役会準備のワークフローを構築。

共通しているのは、「AIに考えさせる」ではなく「散らばった情報源を横断して、決まった形の成果物にする」用途に寄っている点です。同じブログで、ZapierのLarisa Cavallaro氏が「アイデアを持つこと」と「何かを世に出すこと」の間の壁が変わった、という趣旨のコメントを寄せています。日本企業で最初の一手を選ぶときも、この「情報源が3つ以上に散っていて、出力の型が決まっている仕事」を探すのが当たりを引きやすいはずです。

日本語で使うときに押さえる点

日本語環境で確認できる事実を、推測抜きで並べます。

  • 公式情報は日本語版がある:ヘルプセンターは日本語版のCowork記事が公開されており、権限モードも「手動」「自動」「スキップ」という日本語名で説明されています。社内マニュアルを書くときは、この訳語に合わせておくと問い合わせ対応が楽になります。
  • 価格表示はドル建て:日本語の料金ページ(claude.com/ja/pricing)でも、2026年9月時点で表示は$0/$17/$20/$100といったUSD建てで、円建て価格の表示はありません。稟議書に載せる金額は為替と決済手段の前提を添える必要があります。
  • 「Cowork」の日本語読み:公式ページに読み仮名の記載は見当たりません。日本語記事では「コワーク」と表記されることが多い、という以上の断定は避けるのが安全です。
  • UI用語は英語のまま残る箇所がある:日本語版ヘルプの中でも「Organization settings > Cowork」「Allow “Automatically approve” mode」など、管理画面側の項目名は英語で書かれています。管理者手順書を作るときは英語ラベルも併記しておくと迷子になりません。
  • フィードバック導線がプランで違う:Free・Pro・Maxはアプリ内のフィードバックボタンから送れますが、Team・Enterpriseではボタンが表示されないため、組織の管理者かAnthropicの担当へ連絡する、と公式に案内されています。

つまずきやすいポイント

公式ドキュメントの記述から、事前に潰しておける誤解を挙げます。

  • ❌ 無料プランで試してから導入判断する
    ⭕ Coworkは有料プラン限定。比較表でFreeだけが対象外になっているので、検証はProの月払い($20)から始める
  • ❌ スマホだけで完結する前提で運用設計する
    ⭕ ローカルファイル・ブラウザ・コンピュータ操作は、その端末のClaude Desktopが開いて接続されている必要がある。モバイルとWebは公式にベータ表記
  • ❌ 「自動」モードにしておけば承認が要らないので楽になる
    ⭕ 自動モードは安全チェックを挟むぶん使用制限を多く消費する。お金・自分名義の送信・重要ファイルが絡む作業は手動へ戻す、と公式が推奨している
  • ❌ 毎朝ローカルフォルダを棚卸しする定期タスクを組む
    ⭕ スケジュールタスクはコンピュータ上のフォルダに紐づけられず、ローカル資源が要るタスクはローカルでしか走らない
  • ❌ チームで1つのCoworkセッションを共有しながら進める
    ⭕ セッション共有は提供されていない。共有できるのはセッション中に作った個別のアーティファクトのみ。Coworkプロジェクトもメンバー間で共有できない
  • ❌ 監査ログは全部管理画面から取れるだろうと想定する
    ⭕ ローカルセッションのデータは利用者端末に残り、管理者が中央管理・エクスポートできない。Compliance APIで捕捉されるのはClaude・Desktop・MobileでのCoworkセッション

2026年のアップデート時系列

「いつ何が入ったか」を押さえておくと、古い解説記事に振り回されずに済みます。以下はAnthropic公式リリースノートの記載に基づく整理です。

日付 内容
2026年1月12日 Claude Desktop(macOSのみ)・Maxプラン向けにリサーチプレビュー開始
2026年1月16日 リサーチプレビューをProプランへ拡大
2026年2月24日 プラグインマーケットプレイスとTeam・Enterprise向け管理者コントロール
2026年2月25日 定期・オンデマンドのスケジュールタスク、スキル/プラグイン/コネクターをまとめる「Customize」セクション
2026年3月17日 スマホから常設スレッドでCoworkを操作(Pro・Maxのリサーチプレビュー)
2026年3月23日 Cowork・Claude Codeでのコンピュータ操作リサーチプレビュー(Pro・Max)
2026年4月9日 macOS・Windowsのデスクトップアプリで一般提供。Analytics API、利用状況分析、OpenTelemetry、Enterprise向け役割ベースアクセス制御を同時投入
2026年6月 チャットとCoworkのドラフトをその場で編集する機能
2026年7月7日 Web・モバイルへ拡大。セッションのリモート実行(ベータ)でデバイス間同期、チャットとCoworkが同じホームを共有
2026年8月25日 メモリがチャットとCoworkをまたいで機能。記憶内容は設定>メモリの「Topics」に一覧
2026年9月10日 Enterpriseで内蔵ブラウザとClaude in Chromeが既定オンへ(管理者がオフにしていない場合)

よくある質問

Claude Coworkは無料で使えますか?

使えません。公式ヘルプセンターは「有料プラン(Pro、Max、Team、Enterprise)で利用できます」と明記しており、料金ページの比較表でもFreeプランだけがCoworkの行で対象外になっています。

Claude CodeとCowork、どちらを使うべきですか?

コードを書く・直す・テストするならClaude Code、ファイルや文書やリサーチを扱うならCoworkです。公式はCoworkを「Claude Codeのエージェント機能をコーディング以外の知識作業へ拡張したもの」と位置づけており、基盤は同じでも想定用途が分かれています。

Windowsでも使えますか?

使えます。Claude Desktop for Windowsはすべての有料プランで対応しており、Coworkには最新版のClaude for Windowsが必要と案内されています。一般提供が始まった2026年4月9日の時点で、macOSとWindowsの両方が対象になりました。

スマホだけで完結できますか?

用途によります。モバイルはPro・Max・Teamで使え(Enterpriseは管理者が有効にした場合)、タスクの起動や進捗確認、成果物の受け取りはできます。ただしローカルファイル、ブラウザ、コンピュータ操作を伴うタスクは、対象端末のClaude Desktopが開いて接続されている必要があります。モバイルとWebは公式にベータ表記です。

チームでセッションを共有しながら作業できますか?

2026年9月時点ではできません。公式の「現在の制限」に「セッションは他のユーザーと共有できません」と書かれています。共有できるのはセッション中に作成した個別のアーティファクトです。Coworkプロジェクトも、Team・Enterpriseのメンバー間で共有できないと明記されています。

使用量をすぐ使い切ってしまうのはなぜですか?

Coworkは通常のチャットより使用割り当てを多く消費するためです。公式は理由として、複雑なマルチステップタスクが計算集約的で多くのトークンを要する点を挙げています。対策として、関連作業を1セッションにまとめる、単純な用件は通常チャットで済ませる、設定>使用状況で消費を確認する、の3点が案内されています。「自動」モードは安全チェックを挟むぶんさらに消費します。

会社で使うとき、管理者は何をオフにできますか?

Organization settings>CoworkでCowork自体とクラウド実行、内蔵ブラウザを個別に制御できます。ほかに「自動承認」モードの可否、コネクターツールの「常に許可」、Organization settings>CapabilitiesでのWeb検索も制御対象です。端末レベルではMDMでisLocalDevMcpEnabledisDesktopExtensionEnabledをfalseにして、ローカルMCPサーバーとデスクトップ拡張を止められます。

まとめ

Claude Coworkを一言で言うと、Claude Codeのエージェント能力を、ターミナルを開かない人の仕事へ持ってきたものです。2026年9月時点で押さえるべき事実は4つに絞れます。有料プラン限定であること。既定の実行場所がクラウドで、ローカルの資源に触るときだけデスクトップアプリを経由すること。権限モードが3段階で、「自動」でも安全チェックが挟まる代わりに使用量が増えること。そしてチーム導入では、クラウド実行・内蔵ブラウザ・自動承認・コネクターの「常に許可」の4つの既定値を、Enterpriseなら2026年9月10日までに確認しておくべきこと。

導入の順番としては、まずPro相当の環境で「情報源が3つ以上に散っていて、出力の型が決まっている仕事」をひとつ選び、手動モードで一周させる。次にフォルダ指示とグローバル指示で癖を固定する。そこまで固まってから、定期タスクとプラグインの配布、管理者設定の詰めへ進むと事故が起きにくくなります。エージェントを長時間走らせる仕組みの内側まで理解しておきたい場合は、Claude Agent SDKの解説Claude Code Desktopの並列セッション解説が補助線になります。

運営元 Uravation よりAIエージェントを構想から本番運用まで進める順番と、体制・KPIの決め方をまとめた資料を無料で公開しています。 AIエージェント導入ロードマップを受け取る(無料)

参考・出典

最終確認日: 2026年9月4日

この記事を読んで導入イメージが固まってきた方へ

UravationではAIエージェント導入の研修・コンサルを行っています。


この記事はAIgent Lab編集部がお届けしました。


Need help moving from reading to rollout?

この記事を読んで導入イメージが固まってきた方へ

UravationではClaude Codeの法人研修と個別指導(マンツーマン)を提供しています。導入・定着まで実務ベースで伴走します。

この記事をシェア

X Facebook LINE

※ 本記事の情報は2026年9月時点のものです。サービスの料金・仕様は変更される可能性があります。最新情報は各サービスの公式サイトをご確認ください。

関連記事