【2026年9月24日更新】Muse Codeは2026年8月31日にベータを卒業し、月額サブスク・SDK・ワークフロー・巻き戻しが追加されました。本文は2026年9月24日にMeta公式ドキュメントを取得して更新しています。モデル側(Muse Spark 1.3の単価とレート上限、1.2からの変更点)は姉妹サイトの Muse Spark 1.3の変更点と料金|企業導入の判断軸 に日付付きで整理しています。
museを実行してワークスペースを信頼しサインイン → ③やりたいことを書く」の3ステップ。公開されている最新版は1.2.1です。Metaが2026年8月5日にベータ公開したMuse Codeは、2026年8月31日の公式ブログでベータを卒業した。同時にセッション間メッセージング、ワークフロー、巻き戻し(rewind)、SDKの開発者プレビュー、月額サブスクが追加されている。この記事は2026年9月24日にMetaの公式ドキュメント・料金ページ・変更履歴・SDKリポジトリを取得し直し、ベータ当時の記述から変わった点を版と日付付きで置き換えたものだ。確認できなかった項目は「2026年9月24日時点で公式に記載なし」と明示している。
Muse Codeとは何か|Meta Superintelligence Labs初のコーディング専用製品
Muse Codeは、Meta Superintelligence Labsが2026年8月5日にベータ公開したターミナルベースのコーディングエージェントである。Meta公式のResearch Blog(2026年8月5日)によれば、大規模なリポジトリを横断するソフトウェアエンジニアリングタスク(変更の計画、コードの記述、結果の検証)を一気通貫でこなすことを狙った製品で、複数の永続サブエージェントを1つのセッションの中で協調させられる点が特徴とされている。
公式ドキュメントの位置づけは明快だ。Muse CodeとMeta Model APIは「同じモデルを使う2つの経路」で、自分でエージェントやアプリを作るならAPIを直接呼び、出来合いのコーディングエージェントをコマンドラインやパイプラインで使いたいならMuse Codeを動かす、と説明されている。基盤モデルのMuse Sparkは、公式のモデル一覧(2026年9月24日取得)で1.3・1.2・1.1の3版が提供され、いずれもコンテキストウィンドウは1,048,576トークン。1.3が新規開発の推奨版とされている。
タイムラインを整理すると、2026年8月5日にベータ公開(基盤はMuse Spark 1.2、OpenRouter経由の提供も同日開始)、8月31日にベータ卒業と月額サブスク開始、そして公式の変更履歴で確認できる最新版が1.2.1、という流れになる。

導入手順(公式どおり)|macOS・Linux・Windowsのインストールと初回起動
インストールは1行だ。公式ドキュメントは、ネイティブのmuseバイナリをパスに置くワンラインインストーラーを案内している。macOSとLinuxはこちら。
curl -fsSL https://dev.meta.ai/install.sh | sh
Windowsはこちら。
irm https://dev.meta.ai/install.ps1 | iex
パスに入ったかはmuse --versionで確認する。次にプロジェクトディレクトリへ移動してmuseを実行すると、対話セッションが始まる。
cd /path/to/your/project
muse
初回起動時に聞かれるのは2つ。1つ目がワークスペースを信頼するか(信頼するとそのリポジトリのスキル・ルール・フックが読み込まれる)、2つ目が認証方法で、ブラウザサインインかAPIキーの貼り付けを選ぶ。サインインの選択肢はセッション中に/loginでいつでも開き直せる。CIのように非対話の環境では環境変数META_API_KEYを使う。
export META_API_KEY="<your-key>"
META_API_KEY="$MUSE_KEY" muse exec "Run the test suite and summarize failures."
同じバイナリが2通りに動く点も押さえておきたい。museはスラッシュコマンドと承認を備えた対話UIを開き、muse exec "<prompt>"は1つのプロンプトを最後まで走らせてスクリプトやCIに結果を返す。なお公式ドキュメントで案内されている起動時の既定モデルはmuse-spark-1.2で、切り替えは--modelか/modelsで行う。8月5日のベータ公開時の公式ブログには「Muse Codeはcontributorティアから始まる」という記述があったため、課金設定の前提が変わっている可能性がある。初回セッションで/modelsを開き、実際に選ばれているモデルIDを目で確認するのが安全だ。
Windowsで使うときの差分(公式に明記された3点)
Muse CodeはmacOS・Linux・Windowsを1つのコードベースから動かすが、公式ドキュメントはWindowsで挙動が変わる点を明記している。
| 項目 | macOS / Linux | Windows |
|---|---|---|
| エージェントが実行するシェル | Bash | PowerShell(コマンドもWindowsのツール前提) |
| 音声入力 | macOSは既定で有効(Alt+V、macOSはoption+V)/Linuxは既定で無効 | 利用できない |
| セッション間メッセージング | 利用できる | 利用できない |
| サンドボックス初期化 | macOSはSeatbelt、Linuxはbubblewrapヘルパー | Windowsサンドボックス。初回だけUAC(管理者承認)が出ることがある |
Windowsでの常用に管理者権限は不要、というのも公式の記述どおりだ。なお、Linuxでbubblewrapが動かないホストや、ヘルパーを同梱しないmuslビルドでは、シェルコマンドがすべて環境エラーになる。サンドボックスが有効だと確認できない場合、Muse Codeはコマンドの実行自体を拒否する設計になっている。
アーキテクチャ|非同期バックグラウンドサブエージェントとクラッシュセーフなイベントログ
Muse Codeの実装で目を引くのは、サブエージェントの扱い方だ。Meta公式ブログによれば、Muse Codeは「シンプルなメインエージェントループ」に加えて「非同期バックグラウンドエージェント」を持つ。タスクごとにその都度サブエージェントを立ち上げるのではなく、セッション全体を通じて専門化されたエージェントをアクティブに保つ設計で、同じ調査を何度もやり直すような冗長な情報収集を避けられるとされている。
2026年9月24日時点の公式ドキュメントでは、この背景エージェントが4種類のオブザーバーとして整理されている。メモリ想起・スキル想起・ゴール追跡・検証の4つで、いずれも既定で有効。オブザーバーはメインのエージェントに割り込まず、短い助言を次のターンに差し込む提案をするだけで、採否は別のリコンサイラが決める。公式は同時に「オブザーバーはそれぞれ自前のモデル呼び出しを行うため、既定の4種類はトークン消費を増やす」とも明記している。コストを抑えたいときに最初に見る設定はここだ。
もう1つの特徴が「追記のみ(append-only)のローカルイベントログ」だ。モデル呼び出し、ツール実行、承認、編集のすべてがこのログに記録されるため、単一の情報源からリプレイが正確に再現でき、クラッシュ後も同じ状態から再開できるとMetaは説明している。公式ドキュメントは復旧時の注意も書いていて、再開は実行途中だった作業を重複排除しない。途中で中断された書き込みは「結果不明」として記録され、エージェントは再試行前に実際の状態を確認するよう指示される。
並列実行の単位も具体的だ。1つのエージェントツリーは既定でルートを含む8体を同時実行でき、settings.jsonのagents.execution_capacityで1から64まで変更できる。並列の子が書き込みを行う可能性があるときは、子ごとにgit worktreeの分離を要求する。分離要求が現在のプロファイル・ワークスペース・プロバイダ・Gitの状態で満たせない場合は黙って共有チェックアウトに落ちることはなく、要求が却下されると明記されている。
標準スキルとスラッシュコマンド|/plan・/grill・/goal・/workflows
ここはベータ当時から整理が変わった箇所だ。2026年8月5日のResearch Blogは/plan・/grill・/goalを「バンドルされたスキル」として3つ並べていたが、2026年9月24日時点の公式ドキュメントでは、組み込みスキルとセッションコマンドが分けて説明されている。
| 区分 | コマンド | 役割(公式ドキュメントの記述) |
|---|---|---|
| 組み込みスキル | /plan |
タスクを根拠のある「決めきった計画」に変換し、承認のためにいったん停止する |
| 組み込みスキル | /grill |
作る前に計画や設計をストレステストし、確定した判断と書面のスコープ契約をプロジェクトのドキュメントに残す |
| 組み込みスキル | /taste |
フロントエンド作業のデザイン品質ゲート |
| 組み込みスキル | /threejs |
Three.jsのシーン構築用リファレンス(1.1.1で追加) |
| 組み込みスキル | /migrate |
Claude CodeまたはCodexのメモリノートとMCPサーバー設定をMuse Codeへ取り込む |
| セッションコマンド | /goal |
セッションのゴールを設定・表示・編集・一時停止・再開・解除する |
| セッションコマンド | /workflows |
マルチエージェントのワークフロー実行を一覧し、停止・再開・取り消し・再起動する |
ゴールの挙動も公式に書かれている。ゴールを設定するとランタイムがエージェントをそこへ縛り、ターン終了後に未完了分の継続を自動でキューに積む。おおよそ10モデルステップの間に進捗報告がないとreport_progressを促し、ゴール完了を宣言する前に要件ごとの達成チェックを課す。Escでターンを中断すると未完了のゴールは自動的に一時停止し、/goal resumeで再開する。
定期実行は/loopだ。短縮表記(5m・1h・2d)か5フィールドのcron式を受け付け、指定がなければ10分おき。実行中のターンに重なった回はスキップされ、キューにも積み直されない。定期ジョブは7日後に自動で失効するという制限も明記されている。
/loop 10m /run-tests
/loop "0 9 * * 1-5" standup
料金と制限(2026年9月24日時点)|サブスク3プランと従量課金
Muse Codeの支払い方法は2つ。ひとつがMuse Code CLI専用の月額サブスク、もうひとつがMeta Model APIキーによるトークン従量課金だ。公式の購読ドキュメントは、サブスクはMuse Code CLIでサインインしているときだけ効き、自分で追加作成したAPIキーの利用分は従量課金で請求される、と明記している。
サブスクの3プラン
| プラン | 公式ドキュメントに書かれている内容 | 報道された月額(1ドル150円換算) |
|---|---|---|
| Everyday Usage | 最新のMuseモデルへのアクセス、5時間ごとに10〜50プロンプト(画像・動画のアップロードを含む)、音声モード、ウェブ検索 | 5ドル(約750円) |
| High Usage | Everydayの内容に加え、利用量が5倍、最新モデルでのプロンプト数増、マルチモーダル入力の増加 | 15ドル(約2,250円) |
| Power Usage | Highの内容に加え、利用量が20倍、プロンプト枠の拡張、新機能への早期アクセス、ファイルアップロード上限の引き上げ | 50ドル(約7,500円) |
金額そのものは、2026年9月24日時点の公式ドキュメントには記載がない(購読画面で提示される形になっている)。表の右列はSubscription InsiderやThe New Stackなど、ベータ卒業時に報じられた値だ。なお発表当日の報道は上位プランの倍率を「3倍・10倍」としていたが、2026年9月24日時点の公式ドキュメントは「5倍・20倍」と書いている。倍率も金額も、購読前に決済画面の表示で確かめてほしい。
従量課金(Meta Model API)
従量課金の単価は公式の料金・レート制限ページ(2026年9月24日取得)にある。ティアはアカウント設定ではなくモデルIDで決まる点が重要だ。
| ティア | モデルID | キャッシュ入力 | 入力(100万トークン) | 出力(100万トークン) | 学習利用 |
|---|---|---|---|---|---|
| Standard | muse-spark-1.3 / 1.2 / 1.1 | 0.15ドル(約23円) | 1.25ドル(約188円) | 4.25ドル(約638円) | 学習に使われない |
| Contributor | muse-spark-1.3-contributor / 1.2-contributor | 0.002ドル(約0.3円) | 0.10ドル(約15円) | 0.20ドル(約30円) | プロンプトと生成結果を将来のMetaモデルの学習に使う許可と引き換え |
レート制限も同じページに載っている。Standardは毎分3,000リクエスト・毎分400万トークン、Contributorは毎分100リクエスト・毎分300万トークンで、上限はAPIキー単位ではなくチーム単位。ウェブ検索グラウンディングは1,000クエリあたり2.50ドル(約375円)がトークン代とは別に加算され、コンテキストを長く使っても単価が上がる「長文脈プレミアム」はない、とも明記されている。なお1ドル150円換算の金額は本記事での換算値で、実際の請求はドル建てだ。
サブスク側の上限の挙動も押さえておきたい。上限に達したら上位プランへアップグレードするか、枠のリフレッシュを待つ。Power Usageの場合は待つしかない。アップグレードは即時で日割り請求、ダウングレードは次の請求サイクルから、解約は当期末まで有効で、解約による返金は法令で求められる場合を除いて行われない。モデル層の単価や上限をもう一段細かく見る場合は、Meta Model APIとは|Muse Spark 1.3の料金と使い方を併読してほしい。サブスクと従量のどちらが自社に合うかを一般論から詰めたい場合は、AIエージェントのコスト管理|API従量とサブスク徹底比較が判断軸になる。

性能の見方|公式の評価方法書とスコアの扱い
ここは書き方を改めた節だ。2026年9月24日時点で、Metaが公開している評価関連の一次資料はMuse Spark 1.2の評価方法書(PDF)で、スコアそのものは公式ブログ内のグラフ画像として提示されている。本文テキストとして数値が書かれているページは確認できなかったため、この記事では公表スコアを数値として断定しない。
代わりに、方法書に書かれている測り方を押さえておくほうが実務では役に立つ。
- Terminal-Bench 2.1(Stanford × Laude Institute):公式2.1リリースの89タスク全てを使用。各試行を隔離されたDaytonaのクラウドサンドボックスで実行し、5回の平均成功率(pass@1)を報告。
- DeepSWE v1.1(Datacurve):91リポジトリ・5言語(TypeScript・Go・Python・JavaScript・Rust)にまたがる113タスク。機能検証とリグレッションの両方が通ったときだけ合格。公式リーダーボードが全モデルでmini-swe-agentを使うのに対し、Metaの評価は各モデルの純正エージェント製品を使うためハーネスが同一ではないと自ら注記している。
- 比較対象と設定:Muse Spark 1.2はMuse Code、Muse Spark 1.1はmini-swe-agent、GrokはGrok Build、Claude OpusはClaude Code、GPTはCodex、GeminiはAntigravity、KimiはKimi Codeという組み合わせ。推論の強さは各モデルの最大値(Muse Sparkはxhigh、Opus・GPT・Kimiはmax、Grok・Geminiはhigh)。
- その他:GDPVal-AA v2(220タスク・Artificial Analysis提供)、MCP Atlas(1,000タスク・36のMCPサーバー・Scale AI提供)、Meta内部コーディングベンチ(社内リポジトリ由来の440タスク)。
方法書自体が「サードパーティモデルの評価は自社のツールやシステムプロンプトに最適化されていないため、各モデルの最高性能を反映しないことがある」と断っている。つまりベンダー公表のスコアは「その測り方での値」であり、導入判断には自社の実タスクでの試用を挟むのが前提という読み方になる。長時間タスクの設計思想を示す例として、方法書とは別に公式ブログが載せているGPUカーネル最適化のケーススタディ(1,000回を超えるツール呼び出し、最長24時間)は参考になる。
Claude Code・Codex・Cursorとの違い|公式に書いてある範囲だけで比べる
比較表は、各社の公式ページを2026年9月24日に取得できた項目だけで作った。
| 項目 | Muse Code(Meta) | Claude Code(Anthropic) | Codex(OpenAI) |
|---|---|---|---|
| 公式が挙げる実行面 | ターミナルとCI、加えて自分のプログラムから動かすSDK | ターミナル、IDE拡張(VS Code/JetBrains)、デスクトップアプリ、ウェブ | ウェブ、CLI、IDE拡張、iOS |
| 月額プランの入り口 | Everyday/High/Powerの3段(金額は公式ドキュメントに記載なし) | Claudeの有料プラン。ターミナルCLI・VS Code・JetBrainsは第三者プロバイダにも対応と公式に明記 | ChatGPTのプランに同梱(Free 0ドル/Go 8ドル=約1,200円/Plus 20ドル=約3,000円/Pro 100ドル=約15,000円から) |
| 従量課金の単価 | 入力100万トークン1.25ドル・出力4.25ドル(Standard) | 本記事では未取得(公式の料金ページで確認) | 本記事では未取得(公式の料金ページで確認) |
| Meta Model APIへの接続 | 既定(設定不要) | Messages API(api.meta.ai)経由で接続できると公式ガイドに記載 | Responses API経由で接続できると公式ガイドに記載 |
この表でいちばん実務的な差は実行面だ。2026年9月24日時点の公式ドキュメントで、Muse Codeが提供しているのはターミナル・ヘッドレス実行・SDKの3つで、IDE拡張・デスクトップアプリ・ウェブ版に相当する製品の記載はない。エディタの中で完結させたい場合は、Muse Code本体ではなく「Meta Model APIを他社のエージェントから呼ぶ」ほうが公式の想定に沿う。公式のコーディングエージェント接続ガイドには、OpenCodeやCodexはOpenAI互換のhttps://api.meta.ai/v1、Claude CodeはAnthropic形式のMessages APIでhttps://api.meta.aiに向ける、という具体的な手順が載っている。
もう1つ、Muse Codeは他のエージェントの資産を取り込む前提で作られている。スキルの探索先には~/.claude/skillsと$CODEX_HOME/skills(未設定時は~/.codex/skills)が既定で含まれ、リポジトリ側も.codex/skillsと.claude/skillsを走査する。命令ファイルの探索順もAGENTS.md→CLAUDE.md→.agents/AGENTS.md→.claude/CLAUDE.mdで、同じ階層では先に見つかった1つが勝つ。/migrateスキルはメモリノートとMCPサーバー設定を、muse skills import --from claude(または--from codex)はスキルを取り込む。乗り換えの摩擦を下げる設計が徹底している。
Cursorについては、公式CLIドキュメントから今回は比較に使える記述を取得できなかったため表には入れていない。エディタ統合型を含めた選定の全体像は、Claude・Codex・Cursorはどのツールを選ぶ?調査で一致率42%とAIエージェントツール比較12選|用途・料金・選び方を合わせて読むほうが早い。
法人で使う前に決めること|データの扱い・学習・管理設定
法人導入で先に決めるべき論点は3つある。いずれも公式ドキュメントに答えが書いてある。
1. 学習利用の可否=モデルIDの選択
Standardティア(muse-spark-1.3など接尾辞なし)は「プロンプトと生成結果をMetaのモデル学習に使わない」と明記されている。Contributorティア(-contributor付き)は学習利用の許可と引き換えに単価が下がる。送信されるプロンプトには社内リポジトリのソースコード、内部API名、コメントに書かれた業務背景、テストフィクスチャが含まれうる。機密性の高いリポジトリでは接尾辞なしのモデルIDを明示的に選ぶのが第一の分岐点だ。さらに厳しい要件がある場合、2026年8月5日の公式ブログはゼロデータ保持(ZDR)の申請受付を開始したと述べており、窓口はMetaのセールスとされている。
2. 権限と実行境界=プロファイルと承認モード
Muse Codeは承認とサンドボックスという独立した2層で副作用を制御する。新規セッションの既定プロファイルはAuto-review(Ask meと同じアクセス範囲で、判定できる承認要求は自動レビュアーが処理し、使えないときは人に聞く)。ほかにAsk me、Unrestricted(--yoloと同じで承認もサンドボックスもなし)、Read-onlyがある。
muse --approval-mode untrusted
muse --approval-judge off
シェルコマンドの審査が1行まるごとではなく段階ごとに行われる点は、ガバナンス設計上の要になる。wc -l report.log && echo cleaning && rm -rf report.log であれば、前の2段は読み取りのみで自動通過し、3段目のrm -rfで停止する。保留された段を却下すると、安全だった前段を含めて何も実行されない。許可の保存は「今回だけ」か「このワークスペースで常に許可(コマンドの接頭辞単位)」で、python・bash・nodeのようなインタプリタ接頭辞は「後続が任意のコード」になるため広い許可として保存できない。拒否ルールは特異度に関係なく許可ルールを上書きする。
ネットワークは--sandbox-networkでproxy-only(既定・宛先ごとに承認)、restricted(遮断)、enabled(全開放)を選ぶ。書き込みはワークスペースと一時ディレクトリに限定され、その中でも.git・.muse・.agentsは読み取り専用=エージェントが自分の履歴・設定・メモリを書き換えられない。権限設計の一般論を社内標準として整える段階なら、AIエージェント ガバナンス・権限設計2026も併せて読んでおきたい。
3. 管理設定とプロンプトインジェクション面
ユーザー設定は~/.config/muse/settings.jsonに置き、"schema_version": 1が必須(欠けると全コマンドがmalformed settings fileで起動に失敗する)。企業の管理者は、配布する管理設定をmuse config validate --plane <defaults|policy> --file <path>で検証し、muse config statusで適用状態を確認できる。
{
"schema_version": 1,
"permissions": { "default_profile": "ask" },
"agents": { "execution_capacity": 8 }
}
注意が要るのはフックとメモリだ。フックのコマンドはサンドボックスと承認の外側で、そのままシェルとして実行される(環境変数は小さな許可リストに絞られるだけ)。管理フック(managed_hooks_path)はプロジェクトの信頼判断を経ずに実行されるため、そのファイルを管理できる人が実行内容を管理できることになる。また、コミット済みのプロジェクトメモリはワークスペースを信頼していない状態でもモデルのコンテキストに読み込まれる(スキル・ルール・フックは信頼後のみ)。外部からのプルリクエストやフォークのチェックアウトでは、MEMORY.mdをプロンプトインジェクションの入口として扱い、内容を確認してから開く運用にしたい。--yoloを「隔離済みの使い捨てコンテナ以外で使わない」と公式が繰り返しているのも同じ理由だ。
2026年8月5日のベータ版から変わった点
ベータ卒業(2026年8月31日)と変更履歴(最新版1.2.1)で加わった主な機能を、公式の記述ベースで並べる。
| 機能 | 内容 | 実務で効くところ |
|---|---|---|
| セッション間メッセージング | 別々に動いているセッション同士が引き継ぎ・レビュー依頼・状況共有を送れる。メッセージは自分が所有するプロセス間のUnixソケットを通り、ネットワークには出ない | 実装役とレビュー役を別ターミナルで走らせ、端末間の手打ち転記をなくす |
| ワークフロー | 大きなタスクを子エージェントのチームに分け、/workflowsの管制画面で進捗・停止・再開・再起動を操作する。1回のワークフローで最大1,000の子タスク、同時実行はCPU由来で最大16 |
サブシステムの並列監査、複数実装案の比較、移行作業の分割 |
| 巻き戻し(rewind) | Esc2回または/rewindで、以前のメッセージまで会話を巻き戻す。選んだメッセージは新しいブランチに未送信の下書きとして復元され、ワークスペースのファイルは変更されない |
指示の出し直しをセッションを捨てずにやる |
| SDK(開発者プレビュー) | CLIの中身(セッション・ツール・権限制御)をTypeScriptライブラリとして提供。muse serveがプロトコルを話し、muse schemaがJSONスキーマを出力する |
自社の管理画面やバッチからエージェントを動かす |
| 月額サブスク | Everyday/High/Powerの3プラン。Muse Code CLIでサインインしているときだけ適用される | 従量課金の変動を月額で固定する |
| 1.2.1の変更 | macOSで音声入力が既定有効、/rewind追加、画像に[Image #N]ラベル、/mcpでMCPサーバーの一覧表示、/migrateスキル追加、新規セッションがAuto-reviewで開始 |
権限の既定値が変わったため、既存の運用手順は読み直しが要る |
SDKはnpm install @muse-code/sdkで導入し、自分のプログラムがローカルのmuseホストを起動して、標準入出力の上のオープンなプロトコル(Muse Session Protocol)で会話する。サーバーもネットワークも介さず、すべてが手元のマシンで完結する構成だと公式ブログは説明している。実装はGitHubのmeta-models/muse-code-sdkで公開されている。

つまずきやすい4点(公式ドキュメント基準)
- ❌ Apple silicon のMacでワークフローが出てこないのを不具合として調べ続ける → ⭕ 仕様として確認する:公式ドキュメントは「現在公開されている
aarch64-apple-darwinパッケージにはworkflow-script-engine-v8が含まれず、そのApple siliconのmacOS成果物ではワークフローが使えない」と明記している。ワークフローが必要ならビルドとロールアウトの条件を先に確認する。 - ❌
settings.jsonを作って書き始める → ⭕ 先頭に"schema_version": 1を書く:このキーがないと起動時にmalformed settings fileで全コマンドが失敗する。設定したいことがないなら、ファイル自体を作らないほうが安全だ(未作成なら既定値が適用される)。 - ❌ 並列の子エージェントを共有チェックアウトのまま走らせる → ⭕ 書き込みを行う子にはworktree分離を要求する:公式は「並列の子が書き込む可能性があるときは分離worktreeを要求し、読み取り専用の子は共有チェックアウトに置く」と使い分けを指定している。
--subagent-worktree-isolationは互換のために残っているフラグで、全ての子を強制的に分離するものではない。 - ❌ クラッシュ後の
/resumeを「続きから安全に再開」と考える → ⭕ 破壊的な手順は確認してから続ける:再開は実行途中の作業を重複排除しない。途中まで反映されたwrite_fileは「結果不明」として記録され、エージェントは再試行前に実際の状態を確認するよう指示される。人間側も同じ姿勢で見るべきだ。
Muse SparkとMuse Codeの関係|モデル層とツール層を分けて理解する
Meta関連の記事を追っていると「Muse Spark」と「Muse Code」が混同されやすい。整理すると次のようになる。2026年9月時点では、Muse Codeの公式ドキュメントとMuse Spark 1.3のモデル/APIドキュメントを分けて確認するのがポイントだ。
- モデル層=Muse Spark:Metaが開発するLLM本体。2026年4月に「Muse Spark」がフラッグシップとして発表され、6月にはエージェント開発者向けの徹底解説記事で紹介した。7月には開発者向けAPIとして「Muse Spark 1.1」が公開され、Meta Model API入門記事でAPIの叩き方をまとめている。現在は「Muse Spark 1.3」が新規開発向けの推奨モデルで、1.2は旧版として引き続き利用できる。なお公式のモデル一覧には、1.3の音声理解が完全対応ではなく品質が落ちる場合があるため、音声は1.2かMuse Voice Transcribeを使うよう注記がある。
- ツール層=Muse Code:Muse Sparkを基盤モデルとして動くターミナル/CI型のコーディングエージェント本体。承認、サンドボックス、セッション、マルチエージェント調整を備え、Claude CodeやCodexに相当するレイヤーの製品である。
つまり「Muse Spark(1.1→1.2→1.3)」はモデルのバージョン、「Muse Code」はそのモデルを使うエージェントツールという別レイヤーの存在だ。さらにローカル実行専用の「Muse Glimmer」はモデル層の別系列にあたる。この3層を分けておくと、今後Metaがモデル更新とツール更新を別々に発表しても混乱しにくくなる。
マルチエージェント設計としてどう位置づくか
Muse Codeの「セッション全体で持続する非同期サブエージェント+独立worktreeでの並列実行」という設計は、単発の質問応答ではなく長時間の自律タスクを前提にしたマルチエージェント運用の一形態と言える。サブエージェントとワークフローの使い分けも公式が明示していて、「リードが直接管理できる範囲の限定的な助っ人」ならサブエージェント、「繰り返し使う編成・並列グループ・依存する段・最終統合が要る」ならワークフローという切り分けになる。同種の設計パターンを比較したい場合は、マルチエージェントの設計パターン3選も参考になる。また、Claude Code側もサブエージェントの権限設計を継続的に見直しており、Claude Codeが塞いだサブエージェントの権限の穴で扱った論点は、Muse Codeのworktree分離を評価する際の比較軸としても使える。
エージェント設計者が今検討すべきこと
- モデルIDで学習利用が決まる前提で標準を決める:Contributorティアはコスト面で魅力的だが、社内コードや内部API情報がMetaのモデル改善に使われる前提になる。機密性の高いリポジトリでは接尾辞なしのモデルIDを明示的に選ぶか、利用規約を法務確認したうえで判断する。
- ベンダー公表のスコアは測り方ごと読む:Metaの評価方法書自身が、サードパーティモデルの評価は各社に最適化されていないと断っている。導入判断では自社の実タスクで試用して比較する。
- オブザーバーと並列数はコストの主要変数:既定で有効な4種類の背景オブザーバーはそれぞれモデル呼び出しを行い、ワークフローの子エージェントもそれぞれ課金対象になる。トークン予算は「1セッション=1つの会話」ではなく「1セッション=複数のエージェント」で見積もる。
- クラッシュ復旧設計は学ぶ価値がある:追記型イベントログによるリプレイ・再開の設計思想は、自社でエージェントの運用基盤を作る際にも参考になる考え方だ。ただし再開時の重複排除は保証されない点まで含めて設計を写す。
運営元 Uravation よりAIエージェントを構想から本番運用まで進める順番と、体制・KPIの決め方をまとめた資料を無料で公開しています。 AIエージェント導入ロードマップを受け取る(無料)
よくある質問
Muse Codeとは何ですか?
Metaのコーディングエージェントで、ターミナルとCIで動きます。プロジェクトの中で実行すると、作業を計画し、ファイルを編集し、コマンドを実行します。承認とOSレベルのサンドボックスは初回実行から有効です。2026年8月5日にベータ公開、2026年8月31日にベータを卒業し、公式の変更履歴で確認できる最新版は1.2.1です(2026年9月24日時点)。
Muse Codeの料金はいくらですか?
支払い方法は2つです。月額サブスクはEveryday Usage/High Usage/Power Usageの3プランで、ベータ卒業時の報道では5ドル(約750円)・15ドル(約2,250円)・50ドル(約7,500円)でした(1ドル150円換算。金額は2026年9月24日時点の公式ドキュメントには記載がありません)。従量課金はMeta Model APIの単価で、Standardティアが入力100万トークンあたり1.25ドル(約188円)・出力4.25ドル(約638円)、Contributorティアが入力0.10ドル(約15円)・出力0.20ドル(約30円)です。
Muse Codeは無料で使えますか?
2026年9月24日時点の公式ドキュメントに、恒久的な無料プランの記載はありません。サブスクは最小プランでも有料で、サブスクを使わない場合はトークン量に応じた従量課金になります。Contributorティア(-contributor付きのモデルID)を選べば単価は大幅に下がりますが、プロンプトと生成結果が将来のMetaモデルの学習に使われる条件です。
Claude Codeとの違いは何ですか?
いずれもターミナルから操作するコーディングエージェントですが、公式が挙げる実行面が違います。Claude Codeはターミナル・IDE拡張(VS Code/JetBrains)・デスクトップアプリ・ウェブを挙げているのに対し、Muse Codeはターミナル・ヘッドレス実行・SDKの3つです。一方でMuse Codeは~/.claude/skillsの探索やCLAUDE.mdの読み込み、/migrateによるメモリとMCP設定の取り込みなど、Claude Codeからの移行を前提にした機能を公式に備えています。
VS Code拡張やGUIアプリはありますか?
2026年9月24日時点の公式ドキュメントに、Muse CodeのIDE拡張・デスクトップアプリ・ウェブ版の記載はありません。エディタの中で使いたい場合は、Meta Model APIを他社のエージェントから呼ぶ経路が公式に案内されています(OpenCodeやCodexはhttps://api.meta.ai/v1、Claude CodeはMessages APIでhttps://api.meta.ai)。
WindowsでもMuse Codeは使えますか?
使えます。インストールはPowerShellでirm https://dev.meta.ai/install.ps1 | iexです。ただし公式に明記された差分が3つあります。エージェントが実行するコマンドがPowerShell構文になること、音声入力が使えないこと、セッション間メッセージングが使えないことです。サンドボックスの初回初期化でUAC(管理者承認)のプロンプトが出ることがありますが、通常利用に管理者権限は不要とされています。
サブスクの利用上限に達したらどうなりますか?
上位プランへアップグレードするか、枠がリフレッシュされるのを待ちます。Power Usageプランの場合はアップグレード先がないため、リフレッシュを待つことになります。アップグレードは即時反映で当期分は日割り請求、ダウングレードは次の請求サイクルから反映され、それまでは現在のプランの上限が維持されます。
社内のコードが学習に使われないようにするには?
接尾辞のないモデルID(muse-spark-1.3など)を選びます。公式の料金ページは、Standardティアについて「プロンプトと生成結果はMetaモデルの学習に使われない」と明記しています。-contributor付きのIDは学習利用の許可と引き換えに単価が下がる設定です。さらに厳しい要件がある場合、2026年8月5日の公式ブログはゼロデータ保持の申請受付を開始したと述べており、窓口はMetaのセールスとされています。
Muse SparkとMuse Codeはどう違いますか?
Muse SparkはMetaが開発するLLM本体(モデル層)、Muse Codeはそのモデルを使って動くターミナル/CI型のコーディングエージェント(ツール層)です。2026年9月24日時点ではMuse Spark 1.3が新規開発向けの推奨モデルで、いずれの版もコンテキストウィンドウは1,048,576トークンです。
ワークフローが使えないのはなぜですか?
ワークフローはビルドとロールアウトの条件に依存します。公式ドキュメントは「現在公開されているaarch64-apple-darwinパッケージにはワークフロースクリプトエンジンが含まれないため、そのApple siliconのmacOS成果物ではワークフローを利用できない」と明記しています。条件を満たさない環境では、Workflowツールと/workflows自体が表示されません。
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関連記事:Muse Glimmer(ローカル実行版)
Meta Superintelligence Labsは2026年8月10日、Muse Spark系列とは別に、Apache 2.0でオープンな30Bパラメータのローカル実行専用モデル「Muse Glimmer」も公開しています。クラウドAPIを使わずOllamaで手元のGPU/Macで動かす手順はMuse Glimmerの使い方|30BをOllamaでローカル実行にまとめています。
