AIエージェント入門

Meta Model API入門|Muse Spark 1.1を叩く実装ガイド

Meta Model API入門|Muse Spark 1.1を叩く実装ガイド

この記事の結論

Meta初の有料開発者API「Meta Model API」でMuse Spark 1.1を呼ぶ実装ガイド。料金・Computer Use・Claude Code連携をコード付きで解説する。

2026年7月9日、Metaは「Muse Spark 1.1」を発表すると同時に、Metaにとって初めての有料開発者向けAPIとなる「Meta Model API」を公開プレビューで開放した。OpenAIやAnthropicと同じ「叩いた分だけ払う」課金モデルにMetaが本格参入したことになる。この記事では、Meta公式ブログ開発者向け公式ドキュメント(dev.meta.ai)で確認できた仕様だけをベースに、実際にAPIを叩くところまでを実装ガイドとしてまとめる。数字や仕様が公式に見つからなかった部分は、正直に「非公開」と書く。

結論:Meta Model APIで何ができるのか

先に要点を並べる。

  • ベースURLhttps://api.meta.ai/v1(OpenAI SDK系)/https://api.meta.ai(Anthropic Messages API系)
  • モデルIDmuse-spark-1.1(カタログ上、現状これ1つのみ)
  • コンテキストウィンドウ:1,048,576トークン(約100万トークン)
  • 最大出力:131,072トークン
  • 料金:入力 $1.25 / 100万トークン、出力 $4.25 / 100万トークン、キャッシュ入力 $0.15 / 100万トークン
  • 対応プロトコル:OpenAI Responses API・Chat Completions API・Anthropic Messages API
  • 対応エージェントCLI:Claude Code、OpenCode、Codex、Goose、Rooなど(公式ドキュメントに設定例あり)

入力モダリティはテキスト・画像・動画・音声・PDFに対応し、出力はテキストのみ。ツールコーリング、構造化出力、検索グラウンディング、Computer Use(画面操作)が主要な用途として挙げられている。

5分で動かす:curlとPython(OpenAI SDK)の最小コード

APIキーはModel APIダッシュボードの「API keys → Create API key」から発行し、環境変数MODEL_API_KEYに保存する。OpenAI SDKは既定でOPENAI_API_KEYを探しにいくため、クライアント生成時に明示的にキーを渡す必要がある点が公式ドキュメントで注意喚起されている。

まずcurlで疎通確認する。

curl -X POST "https://api.meta.ai/v1/responses" 
  -H "Authorization: Bearer $MODEL_API_KEY" 
  -H "Content-Type: application/json" 
  -d '{"model": "muse-spark-1.1", "input": "..."}'

Python(OpenAI SDK)から呼ぶ場合は、base_urlを差し替えるだけでいい。

from openai import OpenAI
import os

client = OpenAI(
    base_url="https://api.meta.ai/v1",
    api_key=os.environ["MODEL_API_KEY"],
)

response = client.responses.create(
    model="muse-spark-1.1",
    input="この関数のテストコードを書いて: def add(a, b): return a + b",
)
print(response.output_text)

Anthropic SDKを使う場合は、ホストをhttps://api.meta.ai/v1なし)に向け、MODEL_API_KEYをベアラートークンとして渡した上でclient.messages.create()を呼ぶ形になる。TypeScript版のOpenAI SDKでも同様にbaseURLを書き換えるだけで動く。

料金とレート制限を計算する

Meta Model APIは前払い・最低利用料金なしの従量課金で、無料枠(Free)と有料枠(Paid)でレート制限が分かれている。

項目 Free Paid
リクエスト数/分 60 3,000
トークン数/分 2,000,000 4,000,000

制限は「APIキー単位」ではなく「チーム単位」で適用される点に注意が必要だ(詳細は公式の料金・レート制限ページを参照)。トークン単価は以下のとおり。

種別 料金(100万トークンあたり)
入力 $1.25
キャッシュ入力 $0.15
出力 $4.25

単純計算すると、入力2,000トークン・出力500トークンのやり取りを1,000回実行した場合のコストはおよそ(2,000×1,000÷1,000,000×$1.25) + (500×1,000÷1,000,000×$4.25) = $2.50 + $2.13 ≈ $4.63となる。1M契約トークンを常にキャッシュヒットさせられる用途(同じ長大なシステムプロンプトを繰り返し使うエージェントなど)では、キャッシュ入力単価$0.15が効いてコストを大きく圧縮できる設計だ。

Computer Use(画面操作)を実装する

Muse Spark 1.1はComputer Use用にcomputer.computercomputer.stopという2つのfunction toolをResponses API上で提供している。computer.computerはアクション配列を受け取ってスクリーンショットを返し、computer.stopはタスク完了時に最終回答を返してセッションを終了する。

座標はピクセルではなく0〜1000に正規化されたグリッドで指定する(左上が(0,0)、右下が(1000,1000))。アクション種別はleft_clicktypescrollkeywaitなど17種類が用意されている(仕様は公式Computer Useドキュメントを参照)。呼び出し例は以下の形になる。

response = client.responses.create(
    model="muse-spark-1.1",
    instructions=system_prompt,
    parallel_tool_calls=False,
    tools=tools,  # computer.computer / computer.stop を含む
    input=[{
        "role": "user",
        "content": [
            {"type": "input_text", "text": task},
            {"type": "input_image", "image_url": screenshot_data_url(png)},
        ],
    }],
)

公式ドキュメントが明記する実装上の注意点は3つ。

  1. バッチサイズ:1回のアクション配列は2〜5件程度を推奨。上限はガードレールであって「目標値」ではない。
  2. 並列ツール呼び出しは禁止:UI操作の順序が曖昧にならないようparallel_tool_calls=Falseを必ず指定する。
  3. スクリーンショットのサイズ固定:タスクの軌跡(trajectory)を通じて解像度を一定に保たないと座標がずれる。長いタスクでは古いスクリーンショットをトリミングしてコンテキストを節約する必要がある。

対応環境としてドキュメントが明示しているのは「ブラウザまたはデスクトップ環境」で、モバイル操作についての具体的なAPI記述は今回確認した公式ページには見当たらなかった。ニュースメディアの一部は「デスクトップ/ブラウザ/モバイル対応」と報じているが、これはAPI仕様書ベースではなく製品発表全体の要約と見られるため、モバイルComputer UseのAPI仕様は現時点で「公式ドキュメント未公開」として扱う。

Computer Use自体を初めて扱う場合は、先にComputer Use本番運用ガイド|ループ設計とtask budgetで共通の設計パターン(アクションループの組み方・タイムアウト設計)を押さえておくと理解が早い。

コーディングエージェントCLIから使う

Meta Model APIの特徴は、既存のOpenAI互換・Anthropic互換のエージェントCLIにほぼそのまま接続できる点にある。公式のコーディングエージェント設定ガイドに掲載されている設定例を紹介する。

Claude Code

Claude CodeはAnthropic Messages APIで接続する。x-api-keyではなくANTHROPIC_AUTH_TOKENでベアラー認証する点、モデルエイリアスを全てmuse-spark-1.1に固定する点がポイントだ(固定しないとバックグラウンドタスクやサブエージェント処理の際にClaudeモデルへフォールバックしてしまう)。

export ANTHROPIC_BASE_URL="https://api.meta.ai"
export ANTHROPIC_AUTH_TOKEN="$MODEL_API_KEY"
export ANTHROPIC_MODEL="muse-spark-1.1"
export ANTHROPIC_DEFAULT_OPUS_MODEL="muse-spark-1.1"
export ANTHROPIC_DEFAULT_SONNET_MODEL="muse-spark-1.1"
export ANTHROPIC_DEFAULT_HAIKU_MODEL="muse-spark-1.1"
export CLAUDE_CODE_SUBAGENT_MODEL="muse-spark-1.1"
export ENABLE_TOOL_SEARCH="true"

Claude Agent SDKでの自前実装を検討している場合はClaude Agent SDK実践ガイド|Python自律エージェント構築も合わせて参照するとよい。

OpenCode

OpenCodeはResponses APIアダプター(@ai-sdk/openai)経由でベースURLを差し替える。opencode.jsonにプロバイダーブロックを追加する。

{
  "provider": {
    "meta": {
      "name": "Meta Model API",
      "npm": "@ai-sdk/openai",
      "options": { "baseURL": "https://api.meta.ai/v1" },
      "models": {
        "muse-spark-1.1": {
          "reasoning": true,
          "limit": { "context": 1048576, "output": 131072 },
          "options": {
            "reasoningEffort": "high",
            "reasoningSummary": "auto",
            "include": ["reasoning.encrypted_content"]
          }
        }
      }
    }
  }
}

Codex

CodexはResponses APIを使い、config.tomlにプロバイダーを登録する。

model = "muse-spark-1.1"
model_provider = "meta"
model_reasoning_effort = "high"
model_context_window = 1048576

[model_providers.meta]
base_url = "https://api.meta.ai/v1"
env_key = "MODEL_API_KEY"
wire_api = "responses"

マーケティングの謳い文句と、公式ドキュメントで確認できる範囲のズレ

Meta公式ブログは「主エージェントとして計画を立て、並列サブエージェントに実行を委譲する」ことをMuse Spark 1.1の特徴として紹介している。一方、実際に開発者向けドキュメント(agent frameworksページ)を確認すると、明記されているのはClaude Agent SDKのモデルエイリアス経由でのサブエージェント振り分け(haikuエイリアスが軽量なバックグラウンドタスクやサブエージェントの記帳を担う、という説明)にとどまり、「並列サブエージェント委譲」を実現する専用APIパラメータの詳細な仕様は今回確認したページには見当たらなかった。同様に、MCP(Model Context Protocol)についても「信頼できるMCPサーバーだけを許可リストに入れる」という運用上の注意が触れられているのみで、MCP接続そのものの実装仕様は薄い。

つまり「1Mトークンコンテキスト」「Computer Use」「OpenAI/Anthropic互換」は公式ドキュメントに具体的な実装仕様として明記されている一方、「並列サブエージェント委譲」はブログの製品説明レベルの記述にとどまり、実装者が参照できる詳細なAPI仕様としては現時点で公開が薄い、という温度差がある。この記事執筆時点(2026年7月9日発表から3週間後)でこの状態であり、今後ドキュメントが拡充される可能性は高い。

Metaのモデル動向を追うなら、有料API化以前のMeta Muse Sparkとは?エージェント開発者向け徹底解説も、Metaが非オープンウェイト路線に舵を切った経緯を知る上で参考になる。同記事執筆時点(2026年6月)では「一般開発者はAPIで叩けない、プライベートプレビューのみ」という状態だったが、今回の1.1で状況が変わった形だ。Computer Use API単体でGPTと比較したい場合はGPT-5.4のネイティブComputer Use徹底解説も参考になる。

導入前に確認すべき制約

  • モデルは1種類のみ:カタログ上、軽量版・高性能版のようなティア分けは現時点で存在しない。用途ごとにモデルを使い分ける設計はできない。
  • 出力はテキストのみ:入力は画像・動画・音声・PDFまで対応するが、出力側は画像生成などのマルチモーダル出力に対応していない。
  • 公開プレビュー段階:正式版ではなく「Public Preview」であり、料金・レート制限・仕様は今後変更される前提で見ておく必要がある。
  • 地域制限について:一部メディアは米国の開発者向け先行公開と報じているが、今回確認した公式ドキュメントページには地域制限の明記が見当たらなかった。利用開始前に自社の対象地域での提供状況を公式ダッシュボードで確認することを推奨する。

よくある質問

Meta Model APIとMuse Spark 1.1は同じものですか?

いいえ。「Muse Spark 1.1」はMeta Superintelligence Labsが開発したモデル自体の名称で、「Meta Model API」はそのモデルを開発者が呼び出すためのAPIサービスの名称です。API経由で使えるモデルは現時点でmuse-spark-1.1のみです。

既存のOpenAI SDKのコードをそのまま移植できますか?

ベースURLとAPIキーの渡し方を変えるだけで、Responses APIのコードはほぼそのまま動く設計になっています。ただしOpenAI SDKは既定で環境変数OPENAI_API_KEYを探すため、Meta Model API用のキー(MODEL_API_KEY)はクライアント生成時に明示的に渡す必要があります。

Claude CodeやCodexといった既存のエージェントCLIから使えますか?

使えます。Claude CodeはAnthropic Messages API互換のエンドポイントに環境変数で接続でき、OpenCodeやCodexはResponses API互換のプロバイダー設定を追加することで接続できます。いずれも公式ドキュメントに設定例が公開されています。

料金はどのくらいかかりますか?

入力は100万トークンあたり$1.25、出力は100万トークンあたり$4.25、キャッシュヒットした入力は100万トークンあたり$0.15です。最低利用料金や契約の縛りはなく、使った分だけ課金される従量課金モデルです。

この記事を読んでAPI連携の実装イメージが固まってきた方へ

UravationではAIエージェント導入の研修・コンサルを行っています。

Need help moving from reading to rollout?

この記事を読んで導入イメージが固まってきた方へ

Uravationでは、AIエージェントの要件整理、PoC設計、社内導入、研修まで一気通貫で支援しています。

この記事をシェア

X Facebook LINE

※ 本記事の情報は2026年7月時点のものです。サービスの料金・仕様は変更される可能性があります。最新情報は各サービスの公式サイトをご確認ください。

関連記事